世界の株は上がっていた。それでもオルカンは下がった
この一週間、オルカンは38,842円から37,945円へ、897円下がりました(-2.31%)。5営業日のうち4日が下げです。数字だけ見ると、しんどい一週間に見えます。
ところが、中身を開けると話が逆になります。
1. 世界の株は、むしろ上がっていた
オルカンが目標にしている世界株の指数は、この一週間でプラス0.50%でした。下がっていません。国ごとに見ると、こうです。
| ブラジル BOVESPA | +5.40% |
|---|---|
| 新興国 全体 | +2.32% |
| アメリカ ナスダック | +0.40% |
| アメリカ S&P500 | +0.09% |
| 中国 上海総合 | -0.56% |
| ヨーロッパ STOXX50 | -1.43% |
| 韓国 KOSPI | -1.50% |
| ドイツ DAX | -1.97% |
| 日本 日経平均 | -2.09% |
| 世界全体(MSCI ACWI) | +0.50% |
上がった国と下がった国が、はっきり分かれた週でした。「世界中に分けて持つ」ということが、そのまま形になって出ています。一つの国だけを見ていたら、まるで違う景色になっていたはずです。
2. では、なぜ下がったのか ―― 円高です
この一週間で、ドル円は160.12円から156.22円まで、およそ4円動きました(-2.44%)。円の値打ちが上がった、つまり円高です。
ざっくり足し算すると、こうなります。
| 世界の株が上がった分 | +0.50% |
|---|---|
| 円高で目減りした分(外貨95%) | -2.32% |
| この2つで説明できる分 | -1.82% |
| 実際の動き | -2.31% |
説明しきれなかった分は -0.49%。 ぴったりは合いません。オルカンの中身が指数と完全に同じではないこと、為替を当てはめる時刻が厳密には違うこと、手数料が毎日少しずつ引かれていること――理由はいくつもあります。合わない分は、消さずにそのまま出しておきます。
3. この一週間に起きたこと ―― 10個
ここからは「起きたこと」を並べます。「これのせいで下がった」とは書きません。相場が動く理由はいつも一つではなく、あとから一本の線で結ぶと、たいてい嘘になるからです。
- 原油(WTI)が83.40ドルから91.48ドルへ、+9.69%上がりました。この一週間で、世界でいちばん大きく動いたのがこれです。
- その背景として、ホルムズ海峡の通航が減っていること、イラン情勢への警戒が伝えられています。ホルムズ海峡は、世界の石油タンカーが通る細い海の道です。
- エネルギー関連の株が+2.20%で、アメリカのセクター(業種)のなかで一番の上昇でした。
- ブラジルの株が+5.40%。ブラジルは石油や鉄鉱石を売る国です。
- Meta(フェイスブックの会社)が+6.70%。新しいAIモデルを発表したことが伝えられています。
- NVIDIA(エヌビディア)が+5.89%。8月末に出した決算が市場の予想を上回っていました(売上962億ドル、予想は923億ドル)。
- いっぽうで、Amazon -2.97%、Broadcom -2.95%、Microsoft -2.69%、Alphabet(グーグル)-2.35%。同じ「大きなIT企業」でも、上と下がはっきり分かれました。
- 9月2日、日銀の高田創審議委員が「機動的に利上げを進めるべき」という考えを示しました。市場では、9月の利上げを見込む割合が8割〜9割まで高まっていたと伝えられています。
- アメリカの財務長官と日銀総裁が会談し、その内容が公表されました。円が157円台から156円台へ動く、ひとつのきっかけになったと報じられています。
- ドル円は160.12円から156.22円へ、-2.44%。金は-1.08%、アメリカの10年金利は4.72%から4.78%へ。日本の日経平均は-2.09%、ドイツのDAXは-1.97%でした。
4. この3つを、もう少し詳しく
① 原油が上がると、世界のどこが動くのか
今週いちばん大きく動いたのは、株ではなく原油でした。1週間で約10%です。
原油が上がると、つながって動くものがあります。石油を掘って売る会社は、同じものを高く売れるので有利になります。だからエネルギー関連の株が上がりました(+2.20%)。石油や鉄鉱石を売る国も同じです。ブラジルの株が+5.40%と大きく上がったのは、そこと無関係ではないでしょう。
「新興国が+2.32%上がった」の中身は、かなりの部分がブラジルでした。数字をひとかたまりで見ると「新興国が元気だった」で終わりますが、開けてみると資源の値段の話だったわけです。
逆に、原油が上がって困る側もいます。石油をほとんど輸入に頼っている日本やドイツのような国です。今週、日経平均は-2.09%、ドイツのDAXは-1.97%でした。ただし、これらの国が下がった理由が原油だけとは限りません。日本には円高という別の要因もありました。ここを一本の線で結ばないことが、大事なところです。
② 「IT企業の株」は、ひとかたまりではない
ニュースでは「ハイテク株が上がった/下がった」とまとめて言われがちです。でも今週の中身を見ると、同じ一週間で、まったく逆に動いています。
| Meta | +6.70% |
|---|---|
| NVIDIA | +5.89% |
| TSMC | +2.73% |
| Apple | +0.08% |
| Alphabet(グーグル) | -2.35% |
| Microsoft | -2.69% |
| Broadcom | -2.95% |
| Amazon | -2.97% |
上がった3社には、共通点があります。Metaは新しいAIモデルを発表し、NVIDIAは決算が予想を上回り、TSMCはそのNVIDIAの半導体をつくっている会社です。いっぽう下がった側には、そうしたニュースがありませんでした。
この8社は、全部オルカンの中に入っています。上がった会社も、下がった会社も、両方です。
③ 日銀の利上げ観測 ―― 今週の円高の、直接のきっかけ
今週いちばん大きな要因は円高でした。では、その円高はどこから来たのか。今週の報道を並べると、日銀(日本銀行)をめぐる動きが中心にあります。
- 9月2日、日銀の高田創審議委員が「機動的に利上げを進めるべき」という考えを示しました。審議委員は、日本の金利を決める会議で票を持っている9人のうちの1人です。
- 市場が「9月に利上げがある」と見込む割合は、8月下旬の時点で8割から9割まで高まっていたと伝えられています。
- 次の金融政策決定会合は9月17日〜18日です。ここで金利が決まります。
- アメリカの財務長官と日銀総裁の会談内容が公表されたことも、円が動くきっかけになったと報じられています。
なぜ「利上げ」の話で円が買われるのか。金利とは、お金を預けたり貸したりしたときに付く「おまけ」のようなものです。日本の金利が上がるということは、円で持っておくと、もらえるおまけが増えるということ。だから円を買う人が増えやすくなります。
ここで大事なのは、まだ利上げは決まっていないという点です。決まったのは何もなく、「そうなりそうだ」という見方が強まっただけで、為替は4円動きました。相場は、起きたことよりも「これから起きそうなこと」に反応します。
ですから、9月17日〜18日は、オルカンを持っている人にとって覚えておいてよい日付です。結果がどうなるか、ここでは予想しません。ただ、その前後で為替が動きやすいことは、今週の値動きが示しています。
5. 来週に出ること
ひとつ、覚えておくと便利なことがあります。この記事の数字は、9月4日「までに」起きたことの一部しか映していません。
オルカンの基準価額に反映されるのは、その前の日の夜に海外で起きたことです。つまり9月4日の夜、日本が眠っているあいだに海外で動いた分は、まだこの数字に入っていません。それは月曜(9月7日)ぶんの数字に出てきます。
「今日のニュースを見て、今日の値段を説明する」――投資の話でいちばんよくある間違いが、これです。このサイトでは、その線を踏まないようにします。
この記事の数字の出どころ
ここに出した数字は、どれも公開されているものです。リンク先でそのまま確かめられます。
- 基準価額・純資産総額 ―― 投資信託協会 ファンド情報(設定日からの全履歴が見られます)
- 世界の株の動き ―― iShares MSCI ACWI ETF(ACWI)。オルカンが目標にしている指数に連動する商品です
- 為替 ―― ドル/円(USDJPY)
- ファンドの詳細 ―― eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)公式ページ