信託報酬 ―― 請求書が来ないのに、毎日引かれているお金
投資信託には手数料がかかります。でも、オルカンを持っていても請求書は来ません。証券会社の明細にも出てきません。では払っていないのかというと、そうではありません。毎日の値段から、すでに引かれているからです。いくら引かれているのか、どうやって引かれているのかを、公表されている数字で確かめます。
1. かかる費用は、ひとつだけ
オルカンの費用は、運用会社が公表しています。
| 買うときの手数料 | ありません |
|---|---|
| 売るときの費用(信託財産留保額) | ありません |
| 持っているあいだの費用(信託報酬) | 年率0.05775%(税抜 年率0.0525%)以内 |
買うときも売るときも、費用はゼロです。かかるのは持っているあいだだけ。それが信託報酬です。
正式には運用管理費用といいます。運用する会社・お金を管理する会社・売っている会社の、3つで分ける取り分です。
2. 0.05775%は、いくらなのか
%のままでは分かりにくいので、円に直します。
| 1万円ぶん持っていたら | 1年で 約5.8円 |
|---|---|
| 10万円ぶん持っていたら | 1年で 約58円 |
| 100万円ぶん持っていたら | 1年で 約578円 |
100万円ぶんを1日にすると、1.6円ほどです。
自動販売機の飲み物1本ぶんで、2か月以上になります。
※説明のための概算です。実際は日々の残高に対してかかるので、値段が動けば金額も変わります。
3. どうやって引かれているのか ―― 請求は来ない
ここが、いちばん知っておいたほうがいいところです。
運用会社の資料には、こう書いてあります。
「基準価額は、運用管理費用(信託報酬)控除後の値です」
つまり、こういうことです。
- 手数料はファンド全体から、毎日引かれる
- 引いたあとの金額で、その日の基準価額が決まる
- だから私たちが見ている値段には、もう引かれたあとの数字が出ている
「すでに引かれた値段」しか見えない仕組みになっているからです。
これは隠しているという意味ではありません。資料にはっきり書いてあります。ただ、見ようとしないと見えない、という形になっています。
4. このサイトの「説明しきれなかった分」との関係
このサイトは毎日、値動きを分解して、最後に「説明しきれなかった分」を出しています。信託報酬は、その差のなかに入っています。
では、差のうちどれくらいを占めているのでしょうか。1日あたりに直してみます。
| 信託報酬(1日あたり) | 約 0.000158% |
|---|---|
| このサイトの「説明しきれなかった分」 | だいたい 0.1%〜0.3% |
けた違いに小さいことが分かります。600分の1から1900分の1くらいです。
ほとんどが手数料ではありません。
では何なのかというと、オルカンの中身が指数と完全には同じでないこと、為替を当てはめる時刻が厳密には違うことのほうが大きい、ということになります。手数料を差の犯人にはできません。
5. ファンド全体だと、いくらになるのか
最後に、規模の話をひとつ。
| 純資産総額(2026年9月25日) | 14兆145億円 |
|---|---|
| × 年率0.05775% | 1年で 約80.9億円 |
大きな数字に見えます。ただ、これは「高い」という意味ではありません。
むしろ逆のことが起きています。集まっているお金が大きいほど、ひとりあたりの割合を下げられます。同じ運用の手間を、大勢で分けているからです。
14兆円という数字と、0.05775%という数字は、つながっています。
6. まとめ
- 費用は持っているあいだの信託報酬だけ。買うときも売るときもゼロ
- 年率0.05775%(税込)以内。100万円ぶんで1年約578円、1日約1.6円
- 請求は来ない。毎日ファンドから引かれ、引いたあとの値段が基準価額になる
- 1日あたりでは0.000158%。毎日の「説明しきれなかった分」の600〜1900分の1
- ファンド全体では年 約80.9億円。大勢で分けているから、ひとりあたりが小さくなる
ここでも「だからこうすべき」とは書きません。安いとも高いとも書きません。ただ、自分が何をいくら払っているかは、請求書が来なくても確かめられます。上のリンクから、誰でも見られる資料です。
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート・ファンドの費用(2026年8月31日基準)
・三菱UFJアセットマネジメント ファンドのページ
・純資産総額:このサイトの2026年9月25日の記録