毎月おなじ額で買うと、本当に有利なのか
「毎月おなじ額で買う」というやり方があります。ドルコスト平均法といいます。「平均の買値がならされるので有利」と説明されることが多い方法です。では、このファンドで実際にやっていたら、どうなっていたのか。設定日からの全データで計算しました。よく書かれている話とは、逆の結果も出ました。
1. まず、しくみ
毎月おなじ「金額」で買います。おなじ「口数」ではありません。ここが大事です。
金額が同じなら、値段が高い月は少ししか買えず、安い月はたくさん買えます。
| 1月 値段が20,000円のとき | 1万円で 5,000口 |
|---|---|
| 2月 値段が10,000円のとき | 1万円で 10,000口 |
| 合計 | 2万円で 15,000口 = 平均13,333円 |
2か月の値段を単純に足して2で割ると15,000円ですが、実際の平均の買値は13,333円になります。安いときに多く買えているからです。これは計算上そうなります。
2. では、実際にやっていたらどうだったか
オルカンが始まった2018年10月31日から、毎月はじめの営業日に1万円ずつ買い続けた場合を計算しました。
| 買った回数 | 96回(2026年9月まで) |
|---|---|
| 出したお金の合計 | 960,000円 |
| 平均の買値 | 16,233円 |
| 2026年9月28日時点の金額 | 2,260,841円(+135.5%) |
96万円が226万円になっています。ここまでは、よく見る話です。
3. ただし、比べる相手を置くと話が変わる
では、おなじ96万円を、最初の日に一度でまとめて買っていたらどうだったのでしょうか。
| 毎月1万円ずつ(96回) | 2,260,841円(+135.5%) |
|---|---|
| 最初に96万円を一度で | 3,670,080円(+282.3%) |
| 差 | 毎月ずつのほうが 1,409,238円 少ない |
「ドルコスト平均法は有利」という説明だけを読んでいると、ここでつまずきます。
4. なぜ、そうなったのか
理由ははっきりしています。この8年は、値段が上がり続けた期間だったからです。
値段が上がっていくなら、早く入れたお金ほど長く値上がりに乗れます。毎月に分けると、後から入れたお金は乗っている期間が短くなります。
これは、あとから振り返って分かることです。
5. 下がった期間で計算すると、逆になる
では、下がった期間ではどうだったのか。2022年で計算してみます。10%以上の下げが3回あった年です。
| 2022年に毎月1万円ずつ(12回) | 115,914円(-3.4%) |
|---|---|
| 2022年のはじめに12万円を一度で | 112,626円(-6.1%) |
| 差 | 毎月ずつのほうが 3,287円 多い |
今度は逆になりました。下がっていく期間では、あとから買うほど安く買えるからです。
6. 結局、何が言えるのか
3つに分けて書きます。
①「平均の買値がならされる」は、計算上そのとおりです。これは事実です。
②ただし「ならされる」は「もうかる」ではありません。意味しているのは「結果のブレが小さくなる」ということです。上がった期間では一括に届かず、下がった期間では一括より減りにくい。真ん中に寄る、ということです。
③どちらが多くなるかは、その期間が上がったか下がったかで決まります。そしてそれは、買う前には分かりません。
上の「一括」は、最初に96万円を持っていた場合の話です。毎月1万円ずつしか出せない人にとっては、一括という選択肢はそもそもありません。
「どちらが有利か」という比べ方ができる人は、実は限られています。
ここでも「だからこうすべき」とは書きません。どちらがいいとも書きません。ただ、「ドルコスト平均法は有利」という一行だけを覚えて始めると、上がった期間のあとで「思ったより増えていない」と感じることになります。そのとき理由が分かっているかどうかは、けっこう違うと思います。
7. まとめ
- 毎月おなじ金額で買うと、高いとき少なく・安いとき多く買える。平均はならされる
- 設定来(96回)で計算すると+135.5%。同額を最初に一括なら+282.3%。一括のほうが140万円多かった
- 理由はこの8年が上がり続けた期間だったから
- 2022年(下げた年)だけで計算すると逆転する(積立-3.4% / 一括-6.1%)
- 「ならされる」=「結果が真ん中に寄る」。もうかるという意味ではない
- そして一括を選べる人は限られている
※計算の前提:毎月はじめの営業日に買ったものとし、分配金はなし(オルカンは分配金を出していません)、税金と売買にかかる費用は考えていません。基準価額は信託報酬を引いたあとの値です。
・基準価額の全データ:投資信託協会 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
(設定日 2018年10月31日 から 2026年9月28日 までの全営業日を使って、このサイトが自分で計算しました)
・いまの数字:このサイトの2026年9月28日の記録