ETFと投資信託 ―― どこが同じで、どこが違うのか
このサイトは、毎日の「世界の株」の数字にETFの値段を使っています。オルカンは投資信託です。どちらも「たくさんの株をまとめて持つ入れ物」ですが、買い方も、売り方も、値段のつき方も、通貨も違います。どこが同じで、どこが違うのかを、公表されている資料と記録で並べます。
1. まず、同じところ
ETFは、日本語で「上場投資信託」といいます。名前のとおり、ETFも投資信託の一種です。
同じところは2つあります。
- たくさんの会社の株を、まとめて持っている。(株ではなく債券などを持つETFや投資信託もあります。ここでは、株を持つこの2つの話をします)1つ買うと、中に入っている会社ぜんぶを少しずつ持つことになります
- 持っているあいだ、費用(信託報酬)がかかる。
日本取引所グループの比較表でも、リスクの欄は、ETFが「多数の銘柄に投資することにより、個別銘柄にかかわるリスクは分散される」、通常の投資信託が「左に同じ」と書かれています。
このサイトが使っているETF(名前は「ACWI」)と、オルカンは、追いかけている指数の系列も同じです。どちらも、世界の先進国と新興国の株をまとめたMSCIの指数です。
2. 違い① ―― どこで、だれから買うか
「上場」というのは、取引所で売り買いできるようにしてあるという意味です。
| ETF | 証券会社を通して、取引所で買う(株と同じ) |
|---|---|
| ふつうの投資信託 | あつかっている証券会社や銀行(販売会社)に申し込む |
買う場所が違うと、だれから買うのかも違ってきます。
- ETF … 取引所で、すでにそのETFを持っている人が売りに出したものを買います。日本取引所グループの説明では、ふつうの人は「募集に応じた者が売却するETFを小口で購入することになります」と書かれています
- ふつうの投資信託 … 販売会社に申し込むと、そのお金がファンドに入り、そのぶん口数が新しく増えます。だれかの持ち分をゆずってもらうわけではありません
日本取引所グループの表では、ETFは「全銘柄全国の証券会社どこでも購入可能」、通常の投資信託は「特定の取扱証券会社、銀行」となっています。
3. 違い② ―― 値段のつき方
ここがいちばん大きな違いです。
ETFの値段は、取引所が開いているあいだ、売り買いが成り立つたびに変わります。買いたい人と売りたい人の注文で、そのつど値段が決まります。
ふつうの投資信託の値段(基準価額)は、1日に1つだけです。
実際の記録で見ます。
| ETF「ACWI」 2026年9月29日(アメリカの取引所) | いちばん高い 159.89ドル いちばん安い 158.84ドル 終わりの値 159.46ドル |
|---|---|
| オルカン 2026年9月30日 | 基準価額 37,791円(1万口あたり) (この1つだけ) |
ETFは、1日のなかで159.89ドルで買った人も、158.84ドルで買った人もいます。オルカンは、同じ日の基準価額が当てはまる人は、全員おなじ値段です。(申し込んだ日と、値段が決まる日は違います。すぐ下に書きます)
もう1つ違いがあります。ETFは動いている値段を見ながら注文できます(見た値段で必ず買えるとは限りません。相手の注文があって、はじめて成り立ちます)。「この値段なら買う」と値段を決めて出す注文(指値)もできます。投資信託は、注文するときには、まだ値段が決まっていません。日本取引所グループの表には「基準価格がわからない状況で購入・換金」と書かれています。この仕組みはなぜ日付が1日ずれるのかで書きました。
オルカンの場合、買うときの値段は「申し込んだ日の、次の営業日の基準価額」と決められています。その日の申し込みの締め切りは、原則として午後3時30分です(販売会社によって違うことがあります)。
4. 違い③ ―― いくらから買えるか
ETFは、基本は「口」という数で買います。「1口」「10口」のように、ETFごとに売り買いの単位が決まっています。だから、買うのに必要なお金は「その時の値段 × 単位」になります(これは商品の代金です。売り買いの手数料は、別にかかることがあります)。
日本取引所グループは、こういう例をあげています。値段が1,000円で、単位が10口のETFなら、1,000円 × 10口 = 1万円が、買うのに必要ないちばん小さい金額です。
ETF「ACWI」は、2026年9月29日の終わりの値が1口159.46ドルでした。
ふつうの投資信託は、決め方が違います。オルカンの買う単位は「販売会社が定める単位」とされています。販売会社が決めるのは「いくらから買えるか」だけで、値段ではありません。値段(基準価額)は、どの販売会社で買っても同じです。販売会社の中には、「いくらぶん買う」と金額を決めて買えるようにしているところがあります(いくらから買えるかは、販売会社によって違います)。
| ETF | 基本は口数で買う 必要なお金 = 値段 × 単位 金額を決めて買えるサービスを出している会社もある |
|---|---|
| ふつうの投資信託 | いくらから買えるかは販売会社によって違う 金額を決めて買える会社がある 値段(基準価額)はどこで買っても同じ |
ただし、ETFを金額を決めて買えるサービスを出している証券会社もあります(2026年3月に発表された例があります)。取引所の決まりは「口数で売り買いする」で、その上に証券会社がサービスを足している形です。
5. 違い④ ―― どの通貨で買うか
この2つでは、値段がついている通貨が違います。
- ETF「ACWI」 … アメリカの取引所(NASDAQ)に上場しています。値段はドルです。日本から買うには、証券会社の外国株の取引を使い、円をドルに替えることになります(やり方や手数料は証券会社によって違います)
- オルカン … 円で買い、円で受け取ります。ただし中身は外国の株が多いので、ファンドの中で円が外国のお金に替えられています。だから円高・円安の影響を受けます
つまり、どちらも為替の影響は受けます。違うのは、お金を替えるのが、買う側(買う人や、その人が使う証券会社)なのか、ファンドの中なのかです。
なお、ETFならすべてドル、というわけではありません。東京の取引所にも、同じMSCI ACWIの指数に連動するETFが上場していて、こちらは円で売り買いします。日本取引所グループの銘柄一覧にのっています。
6. 違い⑤ ―― どう売るか
売るときも、仕組みが違います。
ETFは、取引所で、買いたい人に売ります。値段は、売ったその時の値段です。買いたい人がいて、はじめて売れます。お金の受け渡しがいつになるかは、取引所ごとに決まりがあります。たとえば東京の取引所では、ふつうの株と同じで「取引日から起算して3日目」とされています(これは東京の決まりで、アメリカに上場しているETF「ACWI」の決まりではありません)。
ふつうの投資信託は、販売会社に「換金」を申し込みます。買いたい人を探すのではなく、そのときの基準価額で計算したお金を、ファンドから受け取る形です(最初に払った金額が、そのまま戻るわけではありません)。オルカンでは、こう決められています。
| 売るときの値段 | 申し込んだ日の、次の営業日の基準価額 |
|---|---|
| お金が支払われる日 | 原則、申し込んだ日から数えて6営業日目から |
| 買うときの手数料 | なし |
| 売るときに引かれるお金(信託財産留保額) | なし |
オルカンには、申し込みができない日もあります。ニューヨーク、ロンドン、香港の取引所や銀行が休みの日です。
売るときも、買うときと同じで、ETFは動いている値段を見ながら注文を出せる。投資信託は、売ると決めた時点では値段がまだ分かりません。
7. 違い⑥ ―― 配当をどうするか
中に入っている会社は、配当を出します。それをどうするかが、この2つでは違いました。
| ETF「ACWI」 2018年10月31日〜2026年9月30日 | 持っている人に18回配った 合計 1口あたり14.248ドル |
|---|---|
| オルカン 同じ期間 | 決算8回、分配金はすべて0円 |
ETF「ACWI」の運用会社のページには、配る回数は「年2回」と書かれています。記録では、年末に少額の追加が2回あり、合わせて18回でした。
オルカンは配らずに、中でもう一度株を買っています。これは分配金を出さない設計で書きました。
8. 違い⑦ ―― 費用
日本取引所グループの比較表には、ETFの信託報酬は「通常の投資信託より一般的に安い」と書かれています(2017年8月時点の集計として、ETFは0.060%〜0.950%、インデックス型の投資信託は0.100%〜1.650%)。
では、この2つではどうか。それぞれの運用会社が公表している数字を並べます(2026年10月1日に確認)。
| ETF「ACWI」 | 年0.32% |
|---|---|
| オルカン | 年0.05775% |
この2つでは、投資信託であるオルカンのほうが低くなっています。「ETFのほうが安い」は一般的な傾向として書かれていることで、1つずつ見ると当てはまらない組み合わせもある、ということです。
なお、ここに並べたのは信託報酬だけです。売り買いのときに証券会社に払う手数料などは、買う場所によって違うので、ここでは比べていません。オルカンの費用は信託報酬で書きました。
9. 並べると、こうなる
| ETF「ACWI」 / オルカン | |
| 種類 | 上場している投資信託 / 上場していない投資信託 |
| 買う場所 | 取引所 / 証券会社や銀行 |
| だれから買うか | 持っている人から / 口数が新しく増える |
| 値段 | 取引中に変わる / 1日に1つ |
| 買う単位 | 基本は口数 / いくらから買えるかは販売会社による |
| 通貨 | ドル / 円 |
| 売り方 | 取引所で買いたい人に売る / 換金を申し込む |
| 配当 | 18回配った / 配っていない(0円) |
| 信託報酬 | 年0.32% / 年0.05775% |
10. どちらがいいのか
どちらがいい、とは書きません。仕組みが違うだけで、優劣ではないからです。分かったことだけを並べます。
- ETFも投資信託の一種。たくさんの株をまとめて持つところは同じ
- ETFは取引所で、動いている値段で売り買いする。投資信託は1日に1つの基準価額で売り買いする
- ETFは基本は口数で買い(金額を決めて買えるサービスを出している会社もある)、取引所で買いたい人に売る。投資信託は、いくらから買えるかが販売会社によって違い、換金を申し込んで受け取る
- ETF「ACWI」はドル、オルカンは円。どちらも為替の影響は受ける
- この2つでは、ETF「ACWI」は配当を配り、オルカンは配らずに中で回している
- この2つでは、信託報酬はオルカンのほうが低い。ただし日本取引所グループの資料(2017年8月時点の集計)では「ETFのほうが一般的に安い」と説明されている
11. まとめ
ETFと投資信託は、中身の考え方は同じで、入れ物のつくりが違います。このサイトが毎日の「世界の株」にETFの値段を使っているのは、指数そのものの毎日の値を自動で取る手段がなく、その指数に連動するETFの値段なら取れるからです。そしてETFの値段には配った配当が入っていないので、オルカンの動きとはその分ずれます。そのずれを8年ぶん計算したものは、指数とは何かに書きました。
数字の出どころ:ETFと投資信託の比較は日本取引所グループ「他の投資信託との違い」と同「よくあるご質問」、同「売買制度(ETF)」、同「仕組み」、同「銘柄一覧」。オルカンの買い方・売り方の決まりは月次レポートの「お申込みメモ」。金額を決めて買う例は証券会社の操作ガイドと証券会社の発表(2026年3月)。ETF「ACWI」の信託報酬・配る回数・上場先は運用会社(iShares)のページ、値段と配当の記録はYahoo Finance。オルカンの基準価額と分配金は投資信託協会の公表データです。配当の回数と合計は、このサイトが数えた値です。
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