「説明しきれなかった分」とは何か ―― 合わない分を、消さずに出している理由
このサイトの毎日の表には、最後に「説明しきれなかった分」という行があります。2026年10月1日は+0.51%でした。株と為替を足した答えと、実際の動きが合わなかった分です。これは計算まちがいなのか、よくあることなのか。設定からの全部の日で同じ計算をして、確かめました。
1. 「説明しきれなかった分」は、引き算の残り
オルカンの値段は、おもに2つのことで動きます。世界の株が動いたかと、為替が動いたかです。このサイトは、その2つを毎日並べています。
2026年10月1日は、こうでした。
| 世界の株 | -0.43% |
|---|---|
| 為替 | +0.09% |
| この2つで説明できる分 | -0.34% |
| 実際の動き | +0.17% |
2つを足すと -0.34%。でも実際は +0.17% でした。その差の +0.51% が「説明しきれなかった分」です。
つまりこれは、「実際の動き」から「説明できる分」を引いた残りです。何か特別なものを測っているわけではありません。
2. +0.51% は、めずらしいのか
この日は、株は下がったのに、実際の値段は上がりました。大きなずれに見えます。
そこで、設定の次の日(2018年11月1日)から2026年10月1日まで、計算できた1,927日ぶんを、このサイトと同じやり方で計算しました。ずれの大きさ(プラスかマイナスかは問わない)で数えると、こうなります。上の4行は「ここまでにおさまった日」の数なので、下の行は上の行をふくんでいます。
| 0.10%以内 | 462日(24.0%) |
|---|---|
| 0.25%以内 | 1,030日(53.5%) |
| 0.50%以内 | 1,488日(77.2%) |
| 1.00%以内 | 1,788日(92.8%) |
| 0.51%以上(10月1日と同じか、それより大きい) | 428日(22.2%) |
(0.50%より大きく0.51%より小さい日が11日あるので、1,488日と428日を足しても1,927日にはなりません)
0.51%以上ずれた日は428日。およそ5日に1日です。10月1日のずれは、めずらしい大きさではありませんでした。
半分の日は、ずれが0.23%以内におさまっています。
3. プラスとマイナスは、ほぼ半々
ずれの向きも数えました。
| プラスにずれた日 | 982日 |
|---|---|
| マイナスにずれた日 | 945日 |
どちらかに片寄ってはいません。「いつも実際のほうが高い」「いつも低い」という形ではなく、日によって上にも下にもずれています。
4. 大きくずれた次の日は、逆にずれることが多かった
もう1つ、記録から分かったことがあります。
0.51%以上ずれた428日のうち、307日(71.7%)は、次の営業日に逆の向きにずれていました。
逆になったのは「計算と実際のずれ」の向きです。オルカンの値段が下がったあとに戻った、という意味ではありません。
いちばん分かりやすい例を1つあげます。
| 2020年3月9日 | 説明できる分 -3.04% 実際の動き -6.02% ずれ -2.98% |
|---|---|
| 2020年3月10日 | 説明できる分 -9.60% 実際の動き -5.75% ずれ +3.85% |
3月9日は、実際のほうが計算より大きく下がりました。次の日は逆に、計算のほうが実際より大きく下がりました。2日を合わせると、ずれはかなり小さくなります。
全体で見ても同じ形です。1日ぶんのずれの大きさは、平均で0.37%。5日ぶんをまとめて足しても、平均で0.38%でした(1,927日を前から5日ずつに区切り、プラスとマイナスをつけたまま足して、その大きさを平均したものです)。日ごとのずれが積み上がっていくなら、5日ぶんはもっと大きくなるはずです。そうなっていないのは、上と下のずれが打ち消し合っているからです。
5. なぜ、ずれるのか
毎日の記事には、理由を3つ書いています。
- 使っている数字が、指数そのものではない。このサイトは、指数の代わりにETFの値段を使っています。配当も入っていません
- 時刻が、ぴったり同じではない。基準価額を計算するときに使われる株の値段や為替の時刻と、このサイトが取っている値段の時刻は、同じではありません(なぜ日付が1日ずれるのか)
- 信託報酬が毎日少しずつ引かれている。
4章で見た「次の日に逆にずれる」という形は、時刻のずれがあるときに出る形と合っています。ある日の計算に入りきらなかった動きが、次の日の計算に入るからです。
ただ、3つの理由は、大きさがかなり違います。割り算で出せるものだけ、並べておきます。
| 信託報酬 | 年0.05775% 1営業日あたり、およそ0.0002% |
|---|---|
| ぜんぶ足して残った分 (6章の +13.68ポイント) | 1,927日でならすと 1日あたり、およそ0.007% |
| 毎日のずれの大きさ | 半分の日が0.23%以内 平均で0.37% |
信託報酬は、理由としては正しいのですが、1日の数字にはほとんど出ない大きさです。足して残った分も、1日にならすとわずかです。こちらは小さくても毎日おなじ向きに効くので、何年も足すと残ります。
1日で0.5%や1%というずれを作れる大きさがあるのは、3つのうちでは時刻の違いだけです。ただし、これも「大きさと形が合っている」というところまでで、時刻のずれだけを取り出して測ったわけではありません。
6. 足し合わせると、少しだけプラスに残る
上と下で打ち消し合うなら、ぜんぶ足せばゼロになりそうです。実際に足してみました。
1,927日ぶんのずれを単純に足すと、+13.68ポイント。1,927日は、1年を約245営業日とすると、およそ7.9年ぶんです。1年あたりにならすと、およそ +1.7ポイントになります。これは毎日の%をそのまま足した数字で、もうけの率ではありません。ゼロにはならず、少しだけプラスに残りました。
年ごとに見ると、こうです(1年まるごとある年だけを並べています)。
| 2019年 | +3.12 |
|---|---|
| 2020年 | -0.01 |
| 2021年 | +2.42 |
| 2022年 | +0.18 |
| 2023年 | +3.52 |
| 2024年 | +2.14 |
| 2025年 | +1.98 |
年によってばらばらで、ほぼゼロの年もあります。
指数とは何かで、このサイトが使っているETFの値段には配当が入っておらず、8年ぶんで見るとオルカンとの差が大きくなることを書きました。ここでプラスに残った向きは、それと同じ向きです。ただし、残った分のどれだけが配当によるものかは、この計算では分かりません。
7. じゃあ、この行をどう読めばいいのか
こう読むべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。
- 「説明しきれなかった分」は、実際の動きから、株と為替で説明できる分を引いた残り
- 1,927日のうち、半分の日は0.23%以内。0.51%以上ずれた日は、およそ5日に1日
- プラスの日が982日、マイナスの日が945日で、ほぼ半々
- 0.51%以上ずれた日の次の営業日は、7割ほどが逆の向きにずれていた(値段が戻ったという意味ではない)
- ぜんぶ足すと、1年あたりおよそ +1.7ポイントがプラスに残った
これは過去の記録です。これから先のずれが同じ形になるかどうかは、この数字からは分かりません。
8. まとめ
「説明しきれなかった分」は、まちがいではなく、近い数字で計算していることから出る残りです。1日だけ見ると大きく見える日もありますが、大きくずれた日(0.51%以上)の7割ほどは、次の営業日にずれが逆の向きに出ていました。日ごとのずれが、そのまま同じ向きに積み上がっていく形ではありませんでした(ただし6章のとおり、ぜんぶ足すと少しプラスに残ります)。このサイトがこの行を消さずに出しているのは、合わない分があること自体が、この計算の正直な姿だからです。
数字の出どころ:基準価額は投資信託協会の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月1日)。世界の株はYahoo Finance のETF「ACWI」、為替は同ドル円の日足です。この記事の日数・割合・合計は、毎日の記事と同じ計算式で、このサイトが計算した値です。1,928日のうち1日(2025年4月21日)は、もとの値がそろわず計算できなかったので、入れていません。
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