恐怖指数(VIX)とは何か ―― こわさではなく「揺れの大きさ」の数字
ニュースや週まとめに、ときどき「恐怖指数(VIX)」という言葉が出てきます。2026年9月25日には14.87だったものが、10月1日には16.39まで上がりました(10月2日は15.31)。名前はこわそうですが、何を測っている数字で、オルカンとはどう並んで動いてきたのか。設定からの記録で確かめました。
1. VIXは「これから、どれくらい揺れそうか」の数字
VIXは、アメリカのシカゴにある取引所(Cboe)が計算して出している数字です。取引所の説明では、こう書かれています。
大事なのは、「上がるか下がるか」ではなく「揺れの大きさ」を表している、というところです。
- VIXが低い … 多くの人が「しばらく大きくは揺れないだろう」と見ている
- VIXが高い … 多くの人が「これから大きく揺れそうだ」と身がまえている
身がまえている人が多いときに高くなるので、「恐怖指数」というあだ名がついています。
2. ふだんは、どれくらいの数字なのか
オルカンの設定日(2018年10月31日)から2026年10月2日までの記録です。
| 真ん中の値(中央値) | 18.11 |
|---|---|
| 20より低かった日 | 全体の62.5% |
| いちばん低かった日 | 11.54(2019年11月26日) |
| いちばん高かった日 | 82.69(2020年3月16日) |
いちばん高かった2020年3月は、オルカンが設定からいちばん大きく下がった時期と重なっています(過去、どれくらい下がったことがあるのか)。
2026年10月2日のVIXは15.31でした。この8年の真ん中(18.11)より低いところです。
3. VIXが高い日ほど、オルカンも大きく揺れていた
ここからが、このサイトで計算したところです。
オルカンの基準価額は、前の日の夜のアメリカの市場を映します(なぜ日付が1日ずれるのか)。そこで、アメリカのある夜のVIXと、その夜を映すオルカンの日(ふつうは日本の次の営業日)の動きを組にして、1,862日ぶん並べました。4章も同じ組み方です。
| VIXが15より低い | 396日/オルカンの動きは平均0.51% 1%以上動いた日 12.9% |
|---|---|
| 15〜20 | 768日/平均0.66% 1%以上動いた日 21.1% |
| 20〜25 | 362日/平均0.86% 1%以上動いた日 34.5% |
| 25〜30 | 193日/平均1.10% 1%以上動いた日 43.5% |
| 30〜40 | 105日/平均1.51% 1%以上動いた日 59.0% |
| 40以上 | 38日/平均3.33% 1%以上動いた日 81.6% |
※「動き」は、上がった日も下がった日も、大きさだけで数えています。区切りは「以上・未満」です(たとえば「15〜20」は15以上20未満)。
VIXが高いグループほど、オルカンの1日の動きの平均は大きくなっていました。(グループの平均の話で、毎日必ずそうなるわけではありません)VIXが15より低い日は、1%以上動いた日が8日に1日ほど。40以上の日は、5日に4日です。
VIXが「揺れの大きさ」を表す数字だということと、記録は合っています。
4. VIXが大きく跳ねた日、オルカンは下がっていた
今度は、VIXの高さではなく、1日でどれだけ上がったか(前の取引日の終値とくらべて)で分けました。
| VIXが1日で+10%以上 | 168日のうち、オルカンが下がった日 160日(95.2%) |
|---|---|
| VIXが1日で+20%以上 | 46日のうち、オルカンが下がった日 46日(すべて) |
| VIXが1日で-10%以下 | 107日のうち、オルカンが上がった日 98日(91.6%) |
VIXが1日で2割以上跳ねた46日は、すべてオルカンが下がっていました。
5. では、VIXが跳ねた「次の日」はどうだったか
「VIXが跳ねたら、そのあとも下がり続けるのでは」と思うかもしれません。これも数えました。4章の46日(VIXが跳ねた夜を映すオルカンの日)の、さらに次の営業日です。
| VIXが+20%以上跳ねた46日の、次の営業日 | オルカンが下がった日 19日/上がった日 27日 平均 +0.21% |
|---|
※ここの平均は、上がった日はプラス、下がった日はマイナスのまま足したものです(3章の「大きさだけ」の平均とはちがいます)。
次の日は、下がった日のほうが少なかったという結果です。跳ねた日のあとに、決まった向きはありませんでした。
VIXは、その夜の市場の見方を映す数字で、次の日を当てる数字ではありませんでした。少なくとも、この8年の記録ではそうです。
6. じゃあ、VIXをどう見ればいいのか
こう使うべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。
- VIXは「上がるか下がるか」ではなく、「これからどれくらい揺れそうか」を表す数字
- この8年の真ん中は18.11。20より低い日が6割ほど
- VIXが高いグループほど、オルカンの1日の動きの平均は大きかった(15未満で平均0.51%、40以上で平均3.33%)
- VIXが1日で2割以上跳ねた46日は、すべてオルカンも下がっていた。ただし同じ出来事を2つの数字で見ているもので、どちらが原因とは言えない
- 跳ねた次の日は、上がった日のほうが多かった。次の日を当てる数字ではなかった
これは過去の記録です。これから先も同じ並び方になるかどうかは、この数字からは分かりません。
7. まとめ
VIXは、こわさの数字というより、「揺れの大きさ」の天気予報のような数字です。高い日はオルカンも大きく揺れていて、大きく跳ねた日はオルカンも下がっていました。でもそれは同じ夜の出来事を別の角度から見ているだけで、次の日の向きまでは教えてくれませんでした。
数字の出どころ:VIXの説明はCboe(VIXを計算している取引所)。VIXの値はYahoo Financeの日ごとの終値(2018年10月〜2026年10月2日)。基準価額は投資信託協会の公表データです。3〜5章の日数・割合・平均は、毎日の記事と同じ日付の合わせ方で、このサイトが計算した値です。アメリカの市場が休みでVIXに新しい値が無かった日は、数えていません(1,927日のうち1,862日を使用)。
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