上の帯=オルカンが投資している国/下の帯=そこを通じて持っている会社の例

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基本のき 21

リスクとリターン ―― 投資の「リスク」は、損をする危険のことではない

「リスク」と聞くと、「損をする危険」のことだと思いがちです。でも投資の世界では、少しちがう意味で使われます。オルカンの運用会社の説明では、リスクは「リターンの変動(振れ幅)の大きさ」です。損をするかどうかだけではなく、上にも下にも、結果がどれだけばらつくか、ということです。では、オルカンのぶれ幅は、実際どれくらいだったのか。設定日からの全部の日で数えました。

1. リターンとリスク、2つの言葉

たとえば、毎年かならず+2%ずつ増えるものがあったら、結果はばらつかないので、リスクは0です。反対に、ある年は+30%、次の年は-10%……と結果が大きく散らばるものは、リスクが大きい、と言います。平均でたくさん増えていても、ばらつきが大きければ、リスクは大きいのです。

リスクの大きさは、標準偏差という数字で表すことが多いです。ざっくり言うと、「平均から、ふつうどれくらい離れるか」の大きさです。運用会社の説明では、平均が+5%で標準偏差が10%なら、結果はだいたい(約68%=3回に2回ほど)-5%から+15%の間に入る、という目安になります。これは、値動きが教科書でよく使う形(正規分布)をしていると考えた場合の目安です。どんなものにも、そのまま当てはまる決まりではありません。

この記事では、標準偏差のことを「ぶれ」と呼びます。

記録ノートを持つ2人の生徒と、両側を説明する先生。左には同じ高さに並んだ赤い+2%の記録カードが3枚、右には離れた高さに赤い+30%と青い-10%のカードがある。同じ結果が続く場合と、結果が大きく散らばる場合を比較する言葉の説明用の例。オルカンの実績や将来の予想ではない。
本文の仮定の例です。増えた結果も減った結果も含めて、ばらつきを見ます。実際の記録や将来の予想ではありません。

2. オルカンの1日のぶれは、1.17%

2018年11月1日から2026年10月8日まで、基準価額の前の日からの動きを、全部の日で並べました。

数えた日数1,933日
上がった日/下がった日1,112日/815日(同じだった日 6日)
1日の動きの平均+0.08%
1日のぶれ(標準偏差)1.17%

1日の平均は+0.08%と、とても小さい数字です。それに対して、ぶれは1.17%。平均の15倍ほどあります。毎日の数字を見ていると、小さな伸びは、上げ下げの大きさにかくれて見えにくい、ということです。

3. 教科書の目安と、少しちがう形だった

1章の目安どおりなら、「平均±ぶれ1つ分」の中に入る日は、約68%のはずです。オルカンの1,933日では、こうなりました。

平均±ぶれ1つ分の中に入った日1,519日(約79%) 目安は約68%
平均±ぶれ3つ分より外に出た日28日 目安どおりの形なら、5日ほど

小さく動く日は目安より多く、とても大きく動く日も、目安より多かったのです。いちばん大きく下がったのは2020年3月17日の-9.26%で、ぶれ(1.17%)のおよそ8倍でした。8日後の3月25日には、いちばん大きく上がった+9.01%の日もありました(過去、どれくらい下がったことがあるのか)。

「ぶれは1.17%」は、「1日にそれ以上は動かない」という意味ではありません。ふだんは目安より静かで、ときどき、目安の何倍も動く日があった。オルカンの約8年の記録は、そういう形をしていました。
2人が過去の記録帳を開き、女性は「1日のぶれ1.17%」の札を指し、男性は虫眼鏡を持つ。記録帳の左には2020年3月17日の-9.26%が青で、右には2020年3月25日の+9.01%が赤で書かれている。集計期間は2018年11月1日から2026年10月8日。ぶれより大きく動いた日もあったこと、標準偏差は平均からの離れ方をまとめた数字であり、値動きの上限ではないことを説明する。
過去の記録にあった、大きく下げた日と上げた日です。標準偏差は、値動きの上限を示す数字ではありません。

4. 1年に直すと、ぶれは約18%。年ごとに見ると

1日のぶれを1年ぶん(約245営業日)に直す、よく使われる計算があります(毎日の動きが、おたがいに関係なく起きると考えた場合の計算です)。それで直すと、オルカンの1年あたりのぶれは約18%(18.3%)でした。年ごとに分けると、こうです。

年その年の増減 / ぶれ(1年あたり)/ 1日で2%以上動いた日
2019年+26.8% / 14.0% / 11日
2020年+9.0% / 30.1% / 39日
2021年+32.7% / 12.9% / 7日
2022年-5.6% / 20.3% / 34日
2023年+30.4% / 14.7% / 11日
2024年+32.5% / 14.9% / 15日
2025年+20.5% / 18.0% / 14日
2026年(10月8日まで)+14.7% / 12.9% / 5日

※「その年の増減」は、前の年の最後の営業日から、その年の最後の営業日までです(2026年は10月8日まで)。

ぶれがいちばん大きかったのは2020年(30.1%)でした。それでも、その年は+9.0%で終わっています。マイナスで終わったのは、2022年(-5.6%)だけでした。いっぽう2021年は、ぶれが小さく(12.9%)、増え方は大きい(+32.7%)年でした。

この約8年では、「ぶれが大きい年ほど、よく増えた」「よく減った」という、決まった並びは見えませんでした。

5. 「平均で年+18%」と聞いたら

オルカンは、2018年10月31日の10,000円から、2026年10月8日の38,277円になりました(+282.8%)。毎年同じ割合で増えたとして1年あたりにならすと、約+18.4%です。

でも上の表を見ると、+17%から+19%の間で終わった年は、1回もありません。いちばん近い2025年でも+20.5%で、ほかは-5.6%から+32.7%まで散らばっています。「ならした数字」は、毎年その分ずつ増えるという意味ではないのです。だから、リターンを見るときは、ぶれも一緒に見ます。

では、「1年持ったら」で見るとどうか。何年持ったら、どうだったかと同じやり方で、買った日を1日ずつずらし、ちょうど1年後とくらべました(2018年10月31日〜2025年10月8日に買った1,692回)。3章は「1日ごとの動き」、ここは「1年後の結果」で、見ているものがちがいます。4章の「1年あたり約18%」も、1日のぶれから直した数字なので、下の「1年後の結果のぶれ」とは別の計算です。

1年後の結果の平均+20.4%
1年後の結果のぶれ15.1%
平均±ぶれ1つ分(+5.3%〜+35.4%)に入った回1,110回(65.6%) 目安は約68%
平均±ぶれ2つ分(-9.7%〜+50.5%)に入った回1,619回(95.7%) 目安は約95%

※範囲は、四捨五入する前の平均とぶれで計算しています。

1年後の結果では、範囲に入った割合が、教科書の目安に近くなっていました。ただし、2つ分の外にも73回(下に33回、上に40回)ありました。1年後にいちばん悪かった-21.6%も、その外側の1回です。

※買った日を1日ずつずらしているので、となり同士の回は、ほとんど同じ期間を見ています。1,692回は、ばらばらに起きた1,692回ではありません。

記録を読む生徒を挟み、左の説明役は前の営業日とその日の2枚の日めくりを指し、右の説明役は買った日と1年後の日めくり、その間の厚いページの束を示す。それぞれの平均±ぶれ1つ分に入った割合は、1日の動き1,933日では約79%、買った日から1年後の結果1,692回では65.6%。教科書の目安は約68%。どちらも過去の記録で、比べている期間が違い、将来もこの割合になるという意味ではない。
左は1日の動き、右は買った日から1年後の結果です。それぞれの平均・ぶれで数えており、同じ対象の数え直しではありません。日めくりは期間の違いを表す記号です。

6. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか

「オルカンのぶれは、これからも1年に18%くらい」という意味ではありません。

7. じゃあ、どう見ればいいのか

こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。

リターンの数字だけを見ると、毎年その分ずつ増えるように見えてしまいます。ぶれの数字は、その横に置いて読むための物差しです。

8. まとめ

投資で言うリスクは、「どれだけ結果がばらつくか」です。オルカンの約8年では、1年あたりのぶれは約18%で、年ごとの結果は-5.6%から+32.7%まで散らばっていました。ならせば年+18.4%でも、その数字ちょうどの年は来ませんでした。リターンを聞いたら、ぶれも一緒に聞く。そして、ぶれの目安の外側に出る日もある――記録が教えてくれるのは、そこまでです。

数字の出どころ:基準価額は投資信託協会の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月8日、1,934営業日)です。リスクとリターンの意味、標準偏差の目安(平均±標準偏差に約68%)は、オルカンの運用会社の三菱UFJアセットマネジメント「投資信託のリスクとリターン」によります。日数・平均・ぶれ(標準偏差)・割合は、このサイトが計算した値です(1日の動きは前の営業日の基準価額との比。1年あたりのぶれは、1日のぶれ×245の平方根。「目安どおりの形なら5日ほど」と「2つ分に約95%」は、教科書で使われる形〈正規分布〉を当てはめた場合の数です。1年後の結果は、買った日のちょうど1年後、休みならその前の営業日の基準価額とくらべています。分配金は8回の決算すべて0円なので、計算に入れる分はありません)。

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