上の帯=オルカンが投資している国/下の帯=そこを通じて持っている会社の例

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基本のき 22

分散とは何か ―― 1社だけ持っていたら、ぶれはどうだったか

「卵はひとつのかごに盛るな」。投資でよく言われる言葉です。たくさんのものに分けて持つことを分散といいます。オルカンは2,359銘柄に分けています(2026年9月30日時点。オルカンの中身)。では、分けると何が変わって、何は変わらないのか。オルカンの中の大きな会社を、1社だけ持っていたらどうだったかを、約8年の記録でくらべました。

1. くらべ方

くらべたのは、このサイトが毎日「世界の株」として使っているACWI(世界の株をまとめたETF)と、オルカンの組み入れ上位の会社です。2026年9月30日時点の上位10銘柄のうち、グーグル(Alphabet)は2種類の株が入っているので1つにまとめ、9社にしました。

※ACWIはオルカンそのものではありません。オルカンは円で見た値段で、中身も少しちがいます(指数とは何か)。

読者役の生徒と説明役が、地球と会社の建物を描いた別々の資料を見ている。左はACWIで「ドル・配当込み」とドル記号、右はオルカンで「円で見る」と円記号。吹き出しは「中身も少しちがう」。この記事で比べるのはACWIと各社の株で、ACWIとオルカンは別の商品だと説明する。

2. 1社だけだと、ぶれは大きかった

世界の株(ACWI)18.4%
Microsoft29.4%
Apple31.0%
Alphabet(グーグル)31.4%
Amazon34.7%
TSMC37.4%
Meta42.1%
Broadcom42.4%
NVIDIA51.0%
Micron54.0%

※1年あたりのぶれ(ドルで見た値段・配当込み)。

9社とも、1社だけのぶれは、ACWIより大きかったのです。いちばん小さいMicrosoftでも29.4%、いちばん大きいMicronは54.0%で、ACWIの約3倍でした。

いちばん高いところから、どこまで下がったか(下げの記録と同じ数え方)でも、ちがいが出ています。

世界の株(ACWI)-33.5%
9社のうち、いちばん浅かった会社(Apple)-35.8%
9社のうち、いちばん深かった会社(Meta)-76.7%

Metaは、いちばん高いところから4分の3以上下がった時期がありました。9社のうち5社は、半分以上下がったことがあります。

3. 9社を同じ金額ずつ持っても、まだACWIより大きかった

では、この9社を同じ金額ずつ持っていたら(毎日、同じ金額ずつになるように持ち直す計算。売買の手数料や税金は入れていない、計算の上の数字です)、どうだったか。

1社ずつのぶれの平均39.3%
9社を同じ金額ずつ29.9%
世界の株(ACWI)18.4%

9社に分けると、1社ずつの平均よりぶれは小さくなりました。それでも、ACWIよりはずっと大きいままでした。

この9社は、9社のうち8社がアメリカの会社で、多くがパソコン・スマホ・AIに関係する会社です(オルカンの中身)。似た会社どうしは、同じ日に同じ向きに動きやすいので、数を分けても、ぶれはあまり小さくならないと一般に説明されます。分散で大事なのは数だけでなく、ちがう動きをするものを混ぜることだ、という説明です。この計算は、その説明と合う向きの結果でした。

4. ★それでも、みんなが一緒に下がる日は避けられなかった

分散しても、どうにもならない日があります。ACWIが1日で2%以上下がった日は59日ありました。その日、9社がどう動いたかを数えました。

ACWIが1日で2%以上下がった日59日
そのうち、9社が全部下がった日53日

ACWIがいちばん大きく下がったのは、2020年3月16日の-11.22%です。この日、9社は全部下がっていました。下がった日の大きい順に10日をならべると、そのうち9日は、9社が全部下がっていました。

分散は、ちがう動きをするものを混ぜるほど、ぶれを小さくしやすくなります。でも、世界の株がまとめて下がる日には、分けて持っていても一緒に下がります。オルカンが2020年の春に-33.81%まで下がったのも(過去、どれくらい下がったことがあるのか)、この形です。分散は「下がらなくなる」しくみではありません。
考え込む生徒に、説明役がACWIのかごと9枚の会社カードを示す。かごには複数の会社カードが入り、かごの上と3行3列に並ぶ9枚すべてに青いマイナス記号が付く。2018年10月31日〜2026年10月9日の記録では、ACWIが1日で2%以上下がった59日のうち53日は9社すべてが下がった。分散しても損はありうると伝える。カードは会社を表す記号で、組入数や比率を示すものではない。

5. 反対に、分けたぶん、1社の大きな伸びも薄まった

同じ期間の、全体の増え方です(ドルで見た値段・配当込み)。

世界の株(ACWI)+170.5%
9社のうち、いちばん小さかった会社(Amazon)+228.4%
9社のうち、いちばん大きかった会社(NVIDIA)+4,301.2%

この期間は、9社とも、ACWIより大きく増えていました。ここだけ見ると、「1社を選んだほうがよかった」と見えます。

でも、この9社は「2026年9月30日の上位」です。2026年9月30日の時点で上位にいる会社で、その多くはこの約8年で大きく伸びてきました。あとから上位を選ぶと、伸びた会社が集まりやすくなります(この9社では、全社がACWIより大きく増えていました)。2018年の時点で、どの会社がこうなるかを選べたかどうかは、この記録からは分かりません。途中で伸びなくなった会社や、上位から外れた会社は、この表には入っていません。
左の生徒は「2018年」と書かれた閉じた本の前で「その前に選べた?」と考える。右の説明役は「2026年9月30日」と記された記録帳で、3行3列の9枚の会社カードを枠で囲み「この時点の上位9社を選ぶ」と話す。枠外にも会社カードが残る。結果を見たあとの比較では、先に選べたかは分からないと示す。会社カードは匿名の記号。

分散すると、1社がとても大きく伸びたときの分も、全体の中では小さくなります。ぶれが小さくなることと、1社の大きな伸びが薄まることは、同じしくみの表と裏です。

6. じゃあ、どう見ればいいのか

こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。

どれくらいのぶれなら受け止められるかは、人によってちがいます。この記録は、そのことを考えるための材料のひとつです。

7. まとめ

分散は、ぶれを小さくしやすくするしくみです。約8年の記録では、上位の会社を1社だけ持つと、世界の株全体より1.6倍から3倍ほど大きくぶれていました。いっぽうで、世界の株がまとめて下がる日には、分けていても一緒に下がりました。そして分けたぶん、1社の大きな伸びも薄まります。「分散しているから安心」でも「1社に絞れば大きくもうかる」でもなく、何が小さくなって、何は残るのか。記録が見せてくれるのは、その両方です。

数字の出どころ:ACWIと9社(NVIDIA・Apple・Microsoft・Amazon・TSMC〈アメリカで取引される株〉・Alphabet〈A株〉・Meta・Broadcom・Micron)の値段はYahoo Financeの日ごとの値(配当と株式分割を調整した値=「Adj Close」)です。9社は月次レポート(作成基準日 2026年9月30日)の組入上位10銘柄から選びました。ぶれ・下げの深さ・増え方・日数は、2018年10月31日〜2026年10月9日の1,995日(9社とACWIの値がそろった日)について、このサイトが計算した値です(1年あたりのぶれは、1日のぶれ×252の平方根。アメリカの市場は1年に約252日開いているため)。オルカンの-33.81%は投資信託協会の基準価額から計算した値です。

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