純資産総額とは何か ―― 値上がりで増えた分と、新しく入ってきたお金の分
このサイトの毎日の記事には、基準価額のとなりに「純資産総額」が出ています。2026年10月9日は、約14.1兆円でした。基準価額が「1万口あたりの値段」なら、純資産総額は「このファンドが持っている株などを、その日の値段で数えた全体の金額」です。では、この大きな数字は、どうやってここまで増えたのか。公表データで、「値上がりで増えた分」と「新しく入ってきたお金の分」に分けてみました。
1. 純資産総額と基準価額は、別のものを表している
- 基準価額=1万口あたりの値段。中の株が値上がりすると上がる(基準価額は何の値段か)
- 純資産総額=ファンド全体の大きさ。中の株が値上がりしても増えるし、新しく入ってくるお金が多くても増える
だから、純資産総額が増えたからといって、基準価額が上がったとはかぎりません。反対に、基準価額が下がった日でも、買う人が多ければ、純資産総額は増えることがあります。
2. 1,000万円から、約14.1兆円へ
オルカンができた2018年10月31日の純資産総額は、1,000万円でした。
| 2018年10月31日(設定日) | 1,000万円 |
|---|---|
| 1兆円をこえた日 | 2023年4月14日 |
| 5兆円をこえた日 | 2024年12月17日 |
| 10兆円をこえた日 | 2026年2月9日 |
| 2026年10月9日 | 約14.1兆円 |
1兆円から5兆円まで約1年8か月、5兆円から10兆円まで約1年2か月でした。
3. 増えた分の7割は、新しく入ってきたお金だった
毎日の純資産総額の増え方を、2つに分けました。
- 値上がりの分=前の日の純資産総額 × その日の基準価額の変化率(何%動いたか)
- 入ってきたお金の分=その日の増え方から、値上がりの分を引いた残り(買った人のお金から、売った人のお金を引いたもの)
設定日から2026年10月9日までの1,934日ぶんを足すと、こうなりました。
| 入ってきたお金の分 | 約9.9兆円(約7割) |
|---|---|
| 値上がりの分 | 約4.2兆円(約3割) |
※公表されている数字から計算した、おおよその分け方です(6章)。
計算で分けると、約14.1兆円のうち、ほぼ10兆円は「新しく入ってきたお金」にあたります。値上がりで増えた分も大きいですが、それより、新しく入ってきたお金のほうが大きかったのです。
年ごとに見ると、こうです。
| 入ってきたお金 / 値上がりの分 / 年末の純資産総額 | |
| 2019年 | 98億円 / 12億円 / 116億円 |
| 2020年 | 570億円 / 89億円 / 776億円 |
| 2021年 | 2,643億円 / 549億円 / 3,967億円 |
| 2022年 | 4,144億円 / -348億円 / 7,764億円 |
| 2023年 | 7,363億円 / 3,079億円 / 1兆8,206億円 |
| 2024年 | 2兆3,567億円 / 9,222億円 / 5兆995億円 |
| 2025年 | 2兆4,583億円 / 1兆4,842億円 / 9兆420億円 |
| 2026年(10月9日まで) | 3兆6,153億円 / 1兆4,814億円 / 14兆1,387億円 |
※年末の純資産総額は、その年の最後の営業日の値です。億円未満は四捨五入しています。
2022年は、基準価額が下がった年でした(リスクとリターンの4章)。値上がりの分はマイナスでしたが、入ってきたお金が4,144億円あったので、純資産総額は増えています。1章で書いた「基準価額が下がっても、純資産総額は増えることがある」が、1年まるごとで起きた年です。
4. 下がった日にも、お金は入ってきていた
1日ずつ見ると、入ってきたお金より出ていったお金のほうが多かった日は、1,934日のうち113日でした。月ごとに足すと、出ていったほうが多い月は、96か月のうち1か月もありませんでした。
| 基準価額が1日で2%以上下がった日 | 75日 |
|---|---|
| そのうち、お金が入ってきていた日 | 71日 |
2020年の春、オルカンがいちばん大きく下がった時期(2020年2月25日〜3月24日、過去、どれくらい下がったことがあるのか)も、20営業日のすべてで、お金は入ってきていました(合わせて約47億円)。
いっぽう、出ていったお金がいちばん多かったのは、2024年8月7日の約79億円でした。日本の株が大きく下がった8月5日のあと、基準価額が+2.23%戻した日です。
5. お金がいちばん多く入ってきたのは、1月のはじめ
| 2026年1月7日 | 約1,539億円 |
|---|---|
| 2025年1月8日 | 約1,450億円 |
| 2026年5月11日 | 約1,081億円 |
| 2024年1月9日 | 約1,014億円 |
1日に入ってきたお金が多かった日の上位4日のうち、3日が1月のはじめでした。NISAの1年ごとの枠は、1月に新しくなります。時期は重なっていますが、それが理由だとは、この数字だけでは確かめられません。
※2025年1月8日は、基準価額が-0.90%下がった日でもあります。
6. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか
- 大きいことは、これから上がることを意味しません。純資産総額はファンドの大きさで、基準価額の先行きを示す数字ではありません。
- 「入ってきたお金」は計算で分けたおおよその数字です。公表されているのは基準価額と純資産総額だけで、買った額・売った額そのものは毎日公表されていません。申し込みの日と、純資産総額に反映される日のずれなどで、1日ずつの数字には誤差があります。
- 「みんなが買っているから安心」という意味ではありません。多くの人が買っていることと、値段が上がるかどうかは、別のことです。
7. じゃあ、どう見ればいいのか
こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。
- 純資産総額は、値上がりでも、新しいお金でも増える。基準価額とは別のもの
- 設定日の1,000万円から約14.1兆円へ。増えた分の約7割は、新しく入ってきたお金
- 基準価額が下がった2022年も、純資産総額は増えた
- 月ごとに差し引くと、出ていったお金が入ってきたお金より多い月は1か月もなかった。2%以上下がった75日のうち71日も、差し引きでお金は入ってきていた
毎日の記事で純資産総額を見たら、前の日とくらべて増えた分のうち、どれくらいが値上がりで、どれくらいが新しいお金かを考えると、この数字が読みやすくなります。
8. まとめ
純資産総額は、ファンドの値段ではなく、大きさです。オルカンの約8年では、1,000万円から約14.1兆円まで大きくなり、その約7割は新しく入ってきたお金でした。下がった日の多く(75日のうち71日)でも、下がった年にも、差し引きでお金は入ってきていました。ただしそれは、これから先の値段について、何も約束しません。大きさと値段を、別々に見る。それがこの数字の読み方です。
数字の出どころ:基準価額と純資産総額は投資信託協会の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月9日、1,935営業日)です。「値上がりの分」と「入ってきたお金の分」は、このサイトが計算した値です(値上がりの分=前の営業日の純資産総額×その日の基準価額の変化率、入ってきたお金の分=純資産総額の増加−値上がりの分。分配金は8回の決算すべて0円なので、計算に入れる分はありません)。億円・兆円の値は四捨五入しています。
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