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基本のき ④ お金と制度 18

純資産総額とは何か ―― 値上がりで増えた分と、新しく入ってきたお金の分

このサイトの毎日の記事には、基準価額のとなりに「純資産総額」が出ています。2026年10月9日は、約14.1兆円でした。基準価額が「1万口あたりの値段」なら、純資産総額は「このファンドが持っている株などを、その日の値段で数えた全体の金額」です。では、この大きな数字は、どうやってここまで増えたのか。公表データで、「値上がりで増えた分」と「新しく入ってきたお金の分」に分けてみました。

1. 純資産総額と基準価額は、別のものを表している

だから、純資産総額が増えたからといって、基準価額が上がったとはかぎりません。反対に、基準価額が下がった日でも、買う人が多ければ、純資産総額は増えることがあります。

左の女性は青い値札の付いた証書を両手で持ち、基準価額は1万口あたりの値段と示す。右の男性は証書やコインの入った箱の横に立ち、純資産総額はファンド全体の大きさと示す。値段が下がっても全体は大きくなることがあり、大きいから安心とは言えないと説明する。
基準価額と純資産総額は、別のものを表します。証書やコインは仕組みのイメージで、枚数は実際の金額や口数を表していません。

2. 1,000万円から、約14.1兆円へ

オルカンができた2018年10月31日の純資産総額は、1,000万円でした。

2018年10月31日(設定日)1,000万円
1兆円をこえた日2023年4月14日
5兆円をこえた日2024年12月17日
10兆円をこえた日2026年2月9日
2026年10月9日約14.1兆円

1兆円から5兆円まで約1年8か月、5兆円から10兆円まで約1年2か月でした。

3. 増えた分の7割は、新しく入ってきたお金だった

毎日の純資産総額の増え方を、2つに分けました。

設定日から2026年10月9日までの1,934日ぶんを足すと、こうなりました。

入ってきたお金の分約9.9兆円(約7割)
値上がりの分約4.2兆円(約3割)

※公表されている数字から計算した、おおよその分け方です(6章)。

女性が公表データの表と電卓で計算している。2018年10月31日から2026年10月9日までの増加を、コインで表す入ってきたお金の分・約9.9兆円(約7割)と、株式の証書で表す値上がりの分・約4.2兆円(約3割)に分ける。入ってきたお金は買った額から売った額を引いた分。おおよその内訳であり、実際の入出金額そのものではないと明記する。
公表データから計算したおおよその内訳です。「入ってきたお金の分」は、買った額と売った額の差にあたる推計です。コインの枚数や円の面積は、金額の比率を表していません。

計算で分けると、約14.1兆円のうち、ほぼ10兆円は「新しく入ってきたお金」にあたります。値上がりで増えた分も大きいですが、それより、新しく入ってきたお金のほうが大きかったのです。

年ごとに見ると、こうです。

入ってきたお金 / 値上がりの分 / 年末の純資産総額
2019年98億円 / 12億円 / 116億円
2020年570億円 / 89億円 / 776億円
2021年2,643億円 / 549億円 / 3,967億円
2022年4,144億円 / -348億円 / 7,764億円
2023年7,363億円 / 3,079億円 / 1兆8,206億円
2024年2兆3,567億円 / 9,222億円 / 5兆995億円
2025年2兆4,583億円 / 1兆4,842億円 / 9兆420億円
2026年(10月9日まで)3兆6,153億円 / 1兆4,814億円 / 14兆1,387億円

※年末の純資産総額は、その年の最後の営業日の値です。億円未満は四捨五入しています。

2022年は、基準価額が下がった年でした(リスクとリターンの4章)。値上がりの分はマイナスでしたが、入ってきたお金が4,144億円あったので、純資産総額は増えています。1章で書いた「基準価額が下がっても、純資産総額は増えることがある」が、1年まるごとで起きた年です。

4. 下がった日にも、お金は入ってきていた

1日ずつ見ると、入ってきたお金より出ていったお金のほうが多かった日は、1,934日のうち113日でした。月ごとに足すと、出ていったほうが多い月は、96か月のうち1か月もありませんでした。

基準価額が1日で2%以上下がった日75日
そのうち、お金が入ってきていた日71日

2020年の春、オルカンがいちばん大きく下がった時期(2020年2月25日〜3月24日、過去、どれくらい下がったことがあるのか)も、20営業日のすべてで、お金は入ってきていました(合わせて約47億円)。

いっぽう、出ていったお金がいちばん多かったのは、2024年8月7日の約79億円でした。日本の株が大きく下がった8月5日のあと、基準価額が+2.23%戻した日です。

「下がった日にお金が入ってくる」理由は、この数字からは分かりません。毎月決まった額で買う人が多いから、とよく説明されますが(毎月おなじ額で買う)、だれがどんな理由で買ったかは、公表データには出ていません。

5. お金がいちばん多く入ってきたのは、1月のはじめ

2026年1月7日約1,539億円
2025年1月8日約1,450億円
2026年5月11日約1,081億円
2024年1月9日約1,014億円

1日に入ってきたお金が多かった日の上位4日のうち、3日が1月のはじめでした。NISAの1年ごとの枠は、1月に新しくなります。時期は重なっていますが、それが理由だとは、この数字だけでは確かめられません。

※2025年1月8日は、基準価額が-0.90%下がった日でもあります。

左の女性が投資信託の箱にコインを入れ、横に1月のカレンダーと「上位4日のうち3日」の説明がある。右の男性は1月・NISAと書かれたカレンダーを持つ。二つの場面の間には疑問符があり、時期が同じでも、だれがなぜ買ったかはこの数字だけでは分からないと説明する。
入金が多かった日とNISAの年間の枠が新しくなる時期は重なりますが、この数字だけでは原因を確かめられません。人物は仕組みのイメージで、実際の購入者を示していません。

6. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか

7. じゃあ、どう見ればいいのか

こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。

毎日の記事で純資産総額を見たら、前の日とくらべて増えた分のうち、どれくらいが値上がりで、どれくらいが新しいお金かを考えると、この数字が読みやすくなります。

8. まとめ

純資産総額は、ファンドの値段ではなく、大きさです。オルカンの約8年では、1,000万円から約14.1兆円まで大きくなり、その約7割は新しく入ってきたお金でした。下がった日の多く(75日のうち71日)でも、下がった年にも、差し引きでお金は入ってきていました。ただしそれは、これから先の値段について、何も約束しません。大きさと値段を、別々に見る。それがこの数字の読み方です。

数字の出どころ:基準価額と純資産総額は投資信託協会の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月9日、1,935営業日)です。「値上がりの分」と「入ってきたお金の分」は、このサイトが計算した値です(値上がりの分=前の営業日の純資産総額×その日の基準価額の変化率、入ってきたお金の分=純資産総額の増加−値上がりの分。分配金は8回の決算すべて0円なので、計算に入れる分はありません)。億円・兆円の値は四捨五入しています。

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