手数料の差は、何年でどれだけになるか ―― 年1%のちがいは、約8年で2,865円
投資信託には、持っているあいだ毎日かかる費用(信託報酬)があります。オルカンは年0.05775%以内です。投資信託によっては、もっと高いものもあります。では、この「年○%」のちがいは、何年でどれくらいの差になるのか。オルカンの実際の約8年の値動きに、「もし費用が年0.5%・1%・1.5%・2%よけいにかかっていたら」を当てはめて計算しました。
1. 信託報酬は「年○%」で、毎日少しずつ引かれる
信託報酬は、1年ぶんの割合で書かれていますが、請求書が来るのではなく、毎日の基準価額から少しずつ引かれています(信託報酬)。だから、ふだんの値動きにまぎれて、目には見えません。
そして、引かれる元は「その日の財産」です。財産が増えれば、同じ年○%でも、引かれる金額は大きくなります。
2. 約8年で、どれくらいの差になったか
2018年10月31日に、基準価額1万円(1万口あたり)のオルカンを1万円ぶん買い、そのあと買い足しも売りもしなかったとします。2026年10月23日の基準価額は37,162円なので、持っている分も37,162円になっています。もし、同じ値動きで、費用だけが年○%よけいにかかっていたら、こうなっていた計算です。
| オルカン(実際) | 37,162円 |
|---|---|
| 費用が年0.5%よけいだったら | 35,704円(-1,458円) |
| 年1.0%よけいだったら | 34,297円(-2,865円) |
| 年1.5%よけいだったら | 32,938円(-4,224円) |
| 年2.0%よけいだったら | 31,627円(-5,535円) |
※「よけいにかかっていたら」は、このサイトの計算上の例です(計算のしかたは、いちばん下の「数字の出どころ」)。実在するほかの投資信託の成績ではありません。
年1%のちがいで、約8年後には2,865円、オルカンの結果の約7.7%ぶんの差になりました。年2%なら、約15%ぶんです。
3. この約8年では、差は年がたつほど大きく開いた
「年1%よけい」の場合の差を、時間の順に並べます。
| 約1年後(2019年10月31日) | 10,999円 と 10,889円 = 差 110円 |
|---|---|
| 約3年後(2021年10月29日) | 16,530円 と 16,039円 = 差 491円 |
| 約5年後(2023年10月31日) | 19,168円 と 18,228円 = 差 940円 |
| 約8年後(2026年10月23日) | 37,162円 と 34,297円 = 差 2,865円 |
1年後は110円だった差が、約8年後には2,865円になっていました。年数は約8倍ですが、差は約26倍です。理由は2つあります。
- 費用は毎年かかるので、年数がたつほど積み重なる
- この約8年は、全体として財産が大きく増えたので、同じ年1%でも、引かれる金額は大きくなっていった(下がった時期には小さくなる)
反対に、財産が増えない時期でも、費用は引かれます。たとえば2022年、オルカンは1年で -5.58% でした。下がった年にも、年○%の費用は同じようにかかっています。
4. 費用は、どこで確かめられるか
投資信託の費用は、どのファンドも、運用会社の資料に書かれています。
| どこに書いてあるか | 月次レポートや目論見書の「ファンドの費用」 |
|---|---|
| くらべる項目 | 買うときの手数料/持っているあいだの費用(信託報酬)/売るときに引かれるお金(信託財産留保額) |
| オルカンの場合 | 買うとき なし/信託報酬 年0.05775%以内/売るとき なし(投資信託とは何か) |
このほかに、株の売り買いの手数料など、ファンドの中でかかる費用もあります。くわしくは、それぞれのファンドの資料で確かめられます。
5. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか
- 「費用が安いファンドを選べば、もうかる」という意味ではありません。費用は「確実にかかる分」で、値動きは別です。ファンドがちがえば、中身も値動きもちがいます。
- この計算は、オルカンと同じ値動きで、費用だけがちがう場合の例です。実際のほかの投資信託は、中身がちがうので、この表のとおりにはなりません。
- 約8年の差の大きさは、この約8年が大きく上がった期間だったことにもよります。上がらない期間なら、差の円の金額はもっと小さくなります。ただし、割合(年○%ぶん)はかかりつづけます。
6. じゃあ、どう見ればいいのか
こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。
- 信託報酬は毎日少しずつ引かれるので、ふだんの値動きでは見えない
- オルカンの約8年の値動きで計算すると、費用が年1%よけいなら約8年で2,865円(約7.7%ぶん)、年2%なら5,535円(約15%ぶん)の差になった
- 差は年がたつほど大きく開いた(年1%:1年後110円 → 約8年後2,865円)
- 下がった年にも、費用は同じようにかかる
- 費用は、どのファンドも「ファンドの費用」の欄で確かめられる
値動きは前もって分かりませんが、費用の「年○%」は前もって分かる数字です(引かれる円の金額は、その日の財産の大きさで変わります)。投資信託をくらべるときに、値動きとは別に見ておける物差しのひとつです。
7. まとめ
「年○%」は小さく見えても、オルカンの約8年では、持つ期間が長くなるほど、差は大きく開いていました。年1%のちがいが、1年後の110円から、約8年後の2,865円になりました。費用は、毎日、目に見えないところで、静かに引かれつづけています。
数字の出どころ:基準価額は投資信託協会の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月23日、1,944営業日)。オルカンの費用は月次レポート(作成基準日 2026年9月30日)の「ファンドの費用」です。「よけいにかかっていたら」の値は、このサイトの計算です(オルカンの基準価額の毎日の変化率に、よけいな費用を年○%として日数に応じて少しずつ引く形で当てはめました。オルカンの基準価額は、オルカン自身の信託報酬を引いたあとの値なので、表の数字は「オルカンの費用に、さらに年○%を足した場合」です。税金は入れていません。分配金は8回の決算すべて0円です)。
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