上の帯=オルカンが投資している国/下の帯=そこを通じて持っている会社の例

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基本のき ⑤ 毎日の数字の読み方 23

為替ヘッジとは何か ―― オルカンは「ヘッジなし」。約8年で、為替はどれだけ効いたか

外国の株を持つ投資信託には、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」があります。オルカンは「なし」です。だから、オルカンの値段は、世界の株の動きに加えて、円高・円安の動きもそのまま受けます。では、この約8年で、為替はオルカンにどれだけ効いてきたのか。オルカンの基準価額と、ドルで見た世界の株と、ドル円を並べて数えました。

1. 為替ヘッジは、為替の動きを小さくするしかけ

日本の投資信託が外国の株を買うときは、まず円をドルなどに替えて、そのドルで株を買います。あとで円にもどすとき、円高になっていれば、同じドルでも受け取る円は減ります(円高・円安)。

為替ヘッジは、この「円にもどすときのレート」を、先に約束しておくしかけです(為替予約)。約束しておけば、そのあいだに円高になっても、円安になっても、為替の動きの影響は小さくなります。

ヘッジなし世界の株の動き + 為替の動き を、両方受ける
ヘッジあり世界の株の動きを、おもに受ける(為替の動きは小さくなる。ただし、ゼロにはならない)
女性と男性が「為替予約」「交換レートを先に約束」と書かれた書類を持つ。女性の吹き出しは「為替の影響を小さく」。下に株式の証書と赤い「上げ」、青い「下げ」を並べ、「株の値動きは残る」と示す。

2. オルカンは「ヘッジなし」

オルカンの月次レポートには、「原則として、為替ヘッジは行いません」と書かれています。リスクの説明の欄にも、為替ヘッジをしないので、為替の動きの影響を大きく受ける、という意味のことが書かれています。

このサイトで毎日出している分解の表の、「為替(ドル円)× 外貨95%」の行は、この「ヘッジなし」の影響を、その日ぶんだけ、おおよそで取り出したものです。ドル円の動きに、外貨の割合を約95%として掛けています(日本の株の約5%は、もともと円で値段がつくので、円に換算するときの為替の影響は受けません。オルカンの中身)。

3. 約8年で、為替はどれだけ効いたか

オルカンの基準価額は、2018年10月31日の10,000円から、2026年10月27日には37,441円になりました。これを、「世界の株の動き」と「為替の動き」に分けて並べます。

ドルで見た世界の株+167.83%
ドル円113.05円 → 157.53円(+39.35%、円安)
オルカン(円で見た値段)+274.41%

※「ドルで見た世界の株」は、世界の株にまとめて投資するアメリカのETF(iシェアーズ MSCI ACWI ETF)の、配当込みの値です。オルカンが目標にしている指数(MSCI ACWI)に近い動きをしますが、ETFの費用などがあるので、まったく同じではありません。日付は、オルカンの基準価額に入る日の前日の、アメリカの値です。

2つを掛け合わせると(2.6783倍 × 1.3935倍 = 約3.73倍)、約+273%になり、オルカンの+274.41%とおおよそ合います。この約8年は、世界の株の上がり分に、円安の分が上乗せされていました。

4. 年ごとに見ると、為替は味方の年も、反対の年もあった

同じ並べ方を、1年ごとにします(それぞれ、前の年の最後の営業日から、その年の最後の営業日まで)。

年ドルで見た世界の株 / ドル円 / オルカン
2019年+27.99% / -1.29% / +26.82%
2020年+15.44% / -5.36% / +8.96%
2021年+19.47% / +11.00% / +32.71%
2022年-18.13% / +15.63% / -5.58%
2023年+21.77% / +6.41% / +30.42%
2024年+18.77% / +11.63% / +32.48%
2025年+21.62% / -1.18% / +20.51%

7年とも、ドル円がプラス(円安)の年は、オルカンが「ドルで見た世界の株」より上に、マイナス(円高)の年は下に来ています。

5. 短い期間では、為替のほうが大きく効いたこともある

2024年7月10日から9月17日まで(約2か月)を見ます。

ドルで見た世界の株+1.73%
ドル円161.33円 → 140.79円(-12.73%、円高)
オルカン27,008円 → 23,890円(-11.54%)

世界の株は、ドルで見ると少し上がっていたのに、オルカンは1割以上下がりました。この2か月のオルカンの下がり幅は、ほとんどが円高の分でした。ヘッジなしは、こういう期間も、そのまま受けます。

記録の本を持つ女性が、2024年7月10日〜9月17日の数値を見比べる。地球と株式の証書の横に「ドルで見た世界の株 +1.73%」、円とドルの記号の横に「ドル円 -12.73% 円高」、財布と証書の横に「オルカン -11.54%」。株が上がっても円では下がった、この期間の記録を示す。

6. ヘッジには、費用がかかる

では、ヘッジをすれば為替の心配はなくなるのか。ヘッジには費用があります。その大きさは、おもに、2つの国の短い期間の金利差で決まります。

運用会社(野村アセットマネジメント)の説明にある例を、そのまま使います。

前提(たとえの数字)約束する時点で1ドル=100円。円の金利が年1%、ドルの金利が年3%
1年後100万円は101万円に、10,000ドルは10,300ドルに増えている
金利の差で有利・不利が出ないように決める、約束のレート101万円 ÷ 10,300ドル = 約98円
ヘッジの費用100円と約98円の差=約2円ぶん(約2%)

この例では、2つの国の金利差(3% − 1% = 2%)と、ほぼ同じ大きさになっています。日本の金利が、相手の国の金利より低いあいだは、ヘッジをすると、そのぶんの費用が毎年かかります。反対に、日本の金利のほうが高いときは、費用ではなく、上乗せ(ヘッジプレミアム)になります。

この費用は、請求書が来るのではなく、ファンドの財産から引かれて、基準価額に表れます(手数料の比べ方)。

男性の説明役が1年の為替予約の書類を持つ。本文の仮定例として、円の金利は年1%、ドルの金利は年3%。出発点の1ドル=100円と約束のレート1ドル=約98円を並べ、差は約2円ぶん(約2%)と示す。下に「実際の為替相場の予想ではありません」と明記。

7. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか

8. じゃあ、どう見ればいいのか

こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。

このサイトの毎日の分解の表では、その日のオルカンの動きのうち、おおよそどれだけが為替の分だったかを、毎日見られます。

9. まとめ

オルカンを持つことは、世界の株と一緒に、円とドルの交換レートも持つことです。ヘッジは、その為替の動きを小さくするかわりに、費用がかかるしかけです。為替が味方になるか反対になるかは、期間によって入れ替わってきました。

数字の出どころ:基準価額は投資信託協会の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月27日)。「ドルで見た世界の株」はETF「ACWI」の配当込みの値、ドル円はどちらもYahoo!ファイナンス(米国版)の日足から、このサイトで計算しました。オルカンが為替ヘッジをしないことは月次レポート(作成基準日 2026年9月30日)の「ファンドの特色」と「投資リスク」の欄です。ヘッジの費用の例は野村アセットマネジメント「『為替ヘッジ』の仕組みとは?」の説明をそのまま使いました。

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