オルカンとS&P500は何がちがうのか ―― 中身・費用・約8年の値動きを並べた
「① はじめに」の5本を、この順に読むと、つながって読めます。
- 1. 投資とは何か
- 2. 毎日見ている「株式会社」――その株式って、なに?
- 3. 投資信託とは何か
- 4. オルカンとは何か
- 5. オルカンとS&P500は何がちがうのか(いま読んでいる記事)
- 6. 買うまでに何があるか
オルカンと、よく比べられるのが「S&P500」の投資信託です。「何がちがうのか、説明できない」という人が多い組み合わせでもあります。この記事では、同じ運用会社(三菱UFJアセットマネジメント)が出している「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」とオルカンを、公表されている資料と、毎日の基準価額で並べます。どちらがよいかは、書きません。
1. いちばんのちがいは、入っている国
名前のとおり、オルカンは「全世界」、S&P500は「アメリカ」です。2026年9月30日時点の月次レポートから並べます。
| オルカン / S&P500 | |
| 目標にしている指数 | MSCI ACWI(世界の株)/ S&P500(アメリカの大きな会社の株) |
| アメリカの割合 | 63.4% / 100%(アメリカの株だけ) |
| 持っている銘柄の数 | 2,359銘柄 / 503銘柄 |
| 上位10銘柄の合計 | 24.6% / 38.4% |
| 持っているあいだの費用(信託報酬) | 年0.05775%以内 / 年0.08140%以内 |
| 為替ヘッジ | しない / しない |
| 分配金(2019〜2026年の8回の決算) | 8回とも0円 / 8回とも0円 |
しくみ(為替ヘッジをしない・これまでの分配金は8回とも0円・同じ会社が運用)は、ほとんど同じです。ちがうのは、おもに「中に何が入っているか」です。
2. ただし、中身の多くは重なっている
オルカンの6割あまりはアメリカの株です(オルカンの中身)。そして、上位10銘柄をくらべると、こうなります。
| 両方の上位10銘柄に入っている | NVIDIA・Apple・Microsoft・Amazon・Alphabet(A)・Alphabet(C)・Meta・Broadcom・Micron の9銘柄(会社では8社) |
|---|---|
| オルカンだけ | TSMC(台湾) |
| S&P500だけ | Tesla(アメリカ) |
※Alphabet(グーグル)は1社で2種類の株(A・C)があるので、銘柄では2つ、会社では1社と数えています。
同じ会社が入っていても、割合がちがいます。たとえば NVIDIA は、オルカンでは5.0%、S&P500では8.3%です。S&P500のほうが、上のほうの会社に、より大きく寄っています。
3. 同じ日に1万円ずつ買っていたら
オルカンが始まった2018年10月31日にそろえて、両方を同じ金額だけ買い、そのあと売り買いしなかったとして計算します(S&P500のほうは、2018年7月に始まっています)。
| オルカン | 10,000円 → 37,680円(+276.80%) |
|---|---|
| S&P500 | 10,000円 → 44,373円(+343.73%) |
※2026年10月28日の基準価額で計算した金額です(税金は入れていません)。S&P500の基準価額は、2018年10月31日が10,121円、2026年10月28日が44,910円です。
この約8年では、S&P500のほうが大きく増えていました。2つの差は、オルカンに入っているアメリカ以外の部分(約4割)や、会社ごとの割合のちがいから生まれます。この期間の差を、そのどれがどれだけ生んだかは、この記事の計算では分けていません。
4. 年ごとに見ると、オルカンが上だった年もある
それぞれ、前の年の最後の営業日から、その年の最後の営業日までです(2026年だけは、10月28日まで)。
| 年 | オルカン / S&P500 |
|---|---|
| 2019年 | +26.82% / +30.51% |
| 2020年 | +8.96% / +10.30% |
| 2021年 | +32.71% / +44.52% |
| 2022年 | -5.58% / -6.09% |
| 2023年 | +30.42% / +34.63% |
| 2024年 | +32.48% / +40.78% |
| 2025年 | +20.51% / +15.66% |
| 2026年(10月28日まで) | +12.93% / +13.60% |
2019〜2025年の7年のうち、5年はS&P500が上、2年(2022年・2025年)はオルカンが上でした。2025年は、オルカンのほうが約5ポイント上でした。
2018年10月31日から2025年10月28日までの営業日に、毎日買ったとして、それぞれ365日後(休みの日なら次の営業日)の基準価額でくらべると、1,705回のうち525回(約31%)はオルカンが上でした。
5. この約8年の揺れ方は、S&P500のほうが少し大きかった
| 1日の動きの、ふだんのぶれ(リスク) | 1.17% / 1.39%(1年に直すと、約18% / 約22%。1年でこれより大きく動かない、という上限ではなく、ぶれの大きさの目安です) |
|---|---|
| いちばん大きく下がったとき | -33.81% / -34.44%(どちらも 2020年2月21日→3月24日) |
| S&P500が1日で3%以上下がった46日の平均 | -3.70% / -4.41% |
| 2025年1月6日→4月9日 | -18.81% / -22.49% |
| 2つが同じ向きに動いた日 | 1,946日のうち 1,773日(約91%) |
S&P500が1日で3%以上下がった46日は、46日ともオルカンも下がっていました。そのうち42日は、オルカンの下がり方のほうが小さかった、という程度のちがいです。いちばん大きく下がったときは、どちらも約3分の1でした(過去どれくらい下がったか)。
6. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか
- 「S&P500のほうが増える」という意味ではありません。この約8年は、アメリカの株がとくに強かった期間です。2018年より前の期間は、この2つの基準価額では確かめられません。
- 「オルカンのほうが安全」という意味でもありません。いちばん大きく下がったときは、どちらも約3分の1でした。
- オルカンを持てば、アメリカの株も約6割持つことになります。両方を持つと、アメリカの同じ会社を、2つの入れ物で重ねて持つことになります。
- これからどちらが上になるかは、書きません。前もって分かる人はいません。
7. じゃあ、どう見ればいいのか
こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。
- しくみ(為替ヘッジなし・これまでの分配金は8回とも0円・同じ運用会社)はほぼ同じで、ちがうのはおもに中身の国
- オルカンの6割あまりはアメリカで、上位10銘柄のうち9銘柄(会社では8社)は同じ
- 約8年(2018年10月31日〜2026年10月28日)では、オルカン +276.80%、S&P500 +343.73%
- 年ごとでは、2019〜2025年の7年のうち2年はオルカンが上。1年後どうしでくらべると約31%はオルカンが上
- ふだんの揺れは S&P500 のほうが少し大きいが、S&P500が3%以上下がった46日は、46日ともオルカンも下がった
どちらを選ぶ人も、「自分が持っているのは、どの国の、どの会社の株なのか」は、月次レポートの国別・上位10社の欄で、毎月確かめられます。
8. まとめ
オルカンとS&P500のちがいは、「アメリカだけか、アメリカを6割あまり含む世界か」です。この約8年はアメリカが強く、S&P500のほうが増えました。ただし、オルカンが上の年もあり、大きく下がるときは、どちらも一緒に下がってきました。
数字の出どころ:基準価額は投資信託協会(オルカン)と投資信託協会(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))の公表データ(2018年10月31日〜2026年10月28日、両方に基準価額がある1,947営業日)から、このサイトで計算しました。中身・費用・為替ヘッジは、オルカンの月次レポートとS&P500の月次レポート(どちらも 2026年9月30日時点)です。「1年に直すと」は、1日のぶれに、1年の営業日数(約245日)の平方根をかけた目安です。
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