上の帯=オルカンが投資している国/下の帯=そこを通じて持っている会社の例

← 基本のき 一覧へ

基本のき ① はじめに 6

名前の似た「全世界株式」は何がちがうのか ―― 4本の費用と約3年の結果を並べた

投資がはじめての人へ
「① はじめに」の5本を、この順に読むと、つながって読めます。
  1. 1. 投資とは何か
  2. 2. 毎日見ている「株式会社」――その株式って、なに?
  3. 3. 投資信託とは何か
  4. 4. オルカンとは何か
  5. 5. オルカンとS&P500は何がちがうのか
  6. 6. 名前の似た「全世界株式」は何がちがうのか(いま読んでいる記事)
  7. 7. 買うまでに何があるか

「全世界株式」の投資信託は、オルカンだけではありません。楽天、たわらノーロード、つみたて全世界株式。名前は似ていますが、何がちがうのでしょうか。この記事では、同じ指数を目標にしている4本を、運用会社の資料と毎日の基準価額で並べます。どれがよいかは、書きません。

1. 4本とも、目標にしている指数は同じ

「オルカン」は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の愛称です。この記事では、次の4本をくらべます。どれも、目標は MSCI ACWI という世界の株の指数で、為替ヘッジはしません。

オルカン三菱UFJアセットマネジメント/2018年10月31日から
楽天・プラス・オールカントリー楽天投信投資顧問/2023年10月27日から
たわらノーロード 全世界株式アセットマネジメントOne/2019年7月22日から
つみたて全世界株式三菱UFJアセットマネジメント/2020年3月6日から

※指数の書き方は、オルカン・たわら・つみたては「配当込み、円換算」、楽天は「円換算ベース」と、資料の言葉が少しちがいます。2026年10月29日までの決算の分配金は、4本とも0円です。

持っている銘柄の数は、2026年9月30日時点で、オルカンとつみたて全世界株式が2,359銘柄、たわらノーロードが2,430銘柄です。楽天の月次レポートには、銘柄の数の記載が見当たりませんでした。指数が同じでも、持ち方は完全に同じではありません。

2. 基準価額が低いのは、安いという意味ではない

2026年10月29日の基準価額を並べると、ずいぶんちがいます。

オルカン37,902円
楽天・プラス・オールカントリー19,531円
たわらノーロード 全世界株式35,242円
つみたて全世界株式34,204円

楽天の値段が約半分なのは、割安だからではありません。おもな理由は、始まった日のちがいです。どれも1万口あたり約1万円から始まり、そのあとの値動きが積み重なって、この数字になっています(基準価額)。この4本では、早く始まったものほど数字が大きくなっていますが、値動きによっては、そうならないこともあります。

同じ1万円で買うと、買える口数がちがうだけです。2023年12月29日なら、オルカンは約4,785口、楽天は約9,267口でした。次の章のとおり、その後の増え方はほとんど同じです。

男女2人が同じ金額の財布を持つ。前の券は全体が同じ大きさで、左は少ない区切り、右は多い区切りになっている。「基準価額が低い=割安、ではない」「同じ金額でも、買える口数はちがう」と説明。券の区切りは口数のイメージで、実際の口数を示すものではない。
同じ金額で買っても口数はちがいます。券の区切りは口数のイメージで、値打ちや有利・不利を示すものではありません。

3. 同じ日に1万円ずつ買っていたら

楽天が始まった2か月後の、2023年12月29日にそろえました。そのあと売り買いをせず、2026年10月29日まで持っていたとして計算します。

オルカン18,136円(+81.36%)
楽天・プラス・オールカントリー18,099円(+80.99%)
たわらノーロード 全世界株式18,087円(+80.87%)
つみたて全世界株式18,039円(+80.39%)

約2年10か月で、いちばん上といちばん下の差は97円でした。

女性が「過去の記録」のファイルを持ち、同じ大きさの4つの記録を並べる。2023年12月29日に各1万円を買い、2026年10月29日まで保有した比較。オルカン18,136円、楽天・プラス・オールカントリー18,099円、たわらノーロード全世界株式18,087円、つみたて全世界株式18,039円。「この期間の記録。将来の順番は分からない」「税金を含めない比較」と明記。
2023年12月29日〜2026年10月29日の比較です。税金は含めず、将来の順番を示していません。

楽天をのぞく3本は、もっと長くくらべられます。2020年3月31日に1万円ずつ買っていたとすると、2026年10月29日には次のようになります。

オルカン41,333円(+313.33%)
たわらノーロード 全世界株式41,094円(+310.94%)
つみたて全世界株式40,782円(+307.82%)

約6年7か月で、上と下の差は551円でした。オルカンとつみたて全世界株式の差は、約2年10か月の97円より大きくなっています(買った日がちがうので、そのままはくらべられません)。

4. 年ごとに見ても、差は小さい

年オルカン / 楽天 / たわら / つみたて
2024年+32.48% / +32.38% / +32.32% / +32.14%
2025年+20.51% / +20.41% / +20.41% / +20.32%
2026年(10月29日まで)+13.60% / +13.55% / +13.52% / +13.45%

※それぞれ、前の年の最後の営業日から、その年の最後の営業日まで(2026年だけ10月29日まで)。

この3つの期間では、どの年もオルカンがいちばん上で、差は最大でも0.34ポイントでした。

5. 毎日の動きは、ほとんど同じ

2023年12月29日から2026年10月29日までの688営業日で、オルカンと1日の動きをくらべました。「差の平均」は、1日ごとの動きの差を、どちらが上かは問わずに平均したものです。

楽天差の平均 0.024ポイント/いちばん大きい日 0.25ポイント/逆向きの日 5日
たわら差の平均 0.003ポイント/いちばん大きい日 0.04ポイント/逆向きの日 0日
つみたて差の平均 0.003ポイント/いちばん大きい日 0.02ポイント/逆向きの日 0日

楽天の差がいちばん大きかった2024年8月9日は、オルカン +2.56%、楽天 +2.81% でした。なぜ楽天の差だけ少し大きいのかは、公開されている資料からは確かめられませんでした。

6. 費用の順番と、結果の順番

費用には、資料に書かれている信託報酬のほかに、実際の1年間でかかった費用を表す「総経費率」があります。総経費率は、それぞれの運用報告書に書かれています。

オルカン信託報酬 年0.05775%以内 / 総経費率 0.07%
楽天・プラス・オールカントリー信託報酬 年0.0561% / 総経費率 0.08%
たわらノーロード 全世界株式信託報酬 年0.10989% / 総経費率 0.14%
つみたて全世界株式信託報酬 年0.198% / 総経費率 0.22%

※総経費率は、ファンドごとに決算の期間がちがいます。売買の手数料や有価証券取引税は入っていません。

信託報酬だけなら、いちばん低いのは楽天です。でも、この期間の結果はオルカンのほうが上でした。総経費率の順番は、3章の結果の順番と同じです(手数料の差)。

ただし、費用だけでは説明しきれません。3章の18,136円と18,099円の差を、約2年10か月で割って1年あたりにならすと約0.07%ぶんですが、総経費率の差は0.01ポイントです。総経費率は期間がちがい、売買の手数料なども入らないので、そのまま引き算はできません。この差が何から来ているかは、この記事の計算では分けていません。

7. 名前が似ていても、指数がちがうものがある

楽天・全世界株式インデックス・ファンドFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスが目標(MSCI ACWI ではない)
楽天・オールカントリー株式(除く日本)インデックス・ファンド日本をのぞいた指数が目標

名前に「全世界」や「オールカントリー」と入っていても、目標の指数がちがえば、中身もちがいます。見分けるには、運用会社の資料の「ファンドの目的・特色」や「ベンチマーク」の欄を見ます。

読者が2冊の「全世界株式」の資料を開き、虫眼鏡で「目標の指数」を確認する。左の資料はMSCI ACWI、右はFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスと書かれ、地球や会社の建物が描かれる。「名前が似ていても、中身は同じとは限らない」「資料の目標の指数を確認」と説明。
名前が似ていても、目標の指数は同じとは限りません。資料の「ファンドの目的・特色」や「ベンチマーク」で確認します。

8. ★この数字を、どう受け取ってはいけないか

9. じゃあ、どう見ればいいのか

こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。

10. まとめ

同じ指数を目標にする「全世界株式」4本は、約3年の結果の差も、毎日の動きの差も小さいものでした。基準価額の数字の大きさも、値打ちのちがいではありません。まず見るところは、名前より「目標の指数」です。

数字の出どころ:基準価額は投資信託協会の公表データ(オルカン/楽天・プラス・オールカントリー/たわらノーロード 全世界株式/つみたて全世界株式)から、このサイトで計算しました。費用・指数・銘柄の数は、2026年9月30日時点の月次レポート(オルカン/楽天/たわら/つみたて)と楽天の交付目論見書です。総経費率は交付運用報告書(オルカン 2026年4月27日決算/楽天 2026年7月15日決算/たわら 2025年10月14日決算/つみたて 2026年6月25日決算)です。7章は楽天投信投資顧問の楽天・全世界株式と楽天・オールカントリー株式(除く日本)の公式ページです。

次に読む
買うまでに何があるか ―― 口座、申し込み、値段が決まる日、お金が届く日 →
← 前の記事:オルカンとS&P500は何がちがうのか ―― 中身・費用・約8年の値動きを並べた

ほかの「基本のき」