オルカンを売るとき、何が起きるのか ―― 手順・お金が届く日・税金・為替
「① はじめに」の5本を、この順に読むと、つながって読めます。
- 1. 投資とは何か
- 2. 毎日見ている「株式会社」――その株式って、なに?
- 3. 投資信託とは何か
- 4. オルカンとは何か
- 5. オルカンとS&P500は何がちがうのか
- 6. 名前の似た「全世界株式」は何がちがうのか
- 7. 買うまでに何があるか
- 8. オルカンを売るとき、何が起きるのか(いま読んでいる記事)
オルカンを売ると、何が起きるのでしょうか。売った値段はいつ決まるのか。お金はいつ届くのか。手数料や税金はいくらかかるのか。為替は関係あるのか。この記事では、その手順と決まりを、運用会社と国税庁の資料で確かめて並べます。「いつ売ればいいか」は書きません。そのかわり、売る日がずれたら、値段がどれだけ変わってきたかを、基準価額の記録で数えました。
1. 「売る」は、販売会社に申し込むこと
投資信託を売ることを、資料では換金といいます。買ったときと同じ販売会社に申し込みます。売る単位は販売会社が決めるので、全部売るか、一部だけ売れるかなどは、それぞれの販売会社で確かめる必要があります。
楽天証券や三井住友銀行の案内では、積立をやめても、それまでに買った分は売られません。売りたいときは、別に申し込みます。
2. 申し込んでから、お金が届くまで
オルカンの月次レポートの「お申込みメモ」には、こう書かれています。
| 売る値段 | 申し込んだ日の次の営業日の基準価額 |
|---|---|
| その日の申し込みになる時間 | 原則、午後3時30分まで(販売会社によってちがう場合あり) |
| お金が受け取れるのは | 原則、申し込んだ日から数えて6営業日目から、販売会社で |
| 売れない日 | ニューヨーク・ロンドン・香港の取引所や銀行の休業日(休みの日、オルカンはどうなるのか) |
休みがない週の例で並べると、こうなります。
| 月曜の午後3時30分まで | 申し込む。この時点では、売る値段はまだ決まっていない |
|---|---|
| 火曜 | 火曜の基準価額で、売る値段が決まる |
| 次の週の月曜 | 6営業日目。お金が受け取れるようになる |
お金は、売った人が販売会社の口座などで受け取ります。そこから銀行の口座へ移す方法は、販売会社によってちがいます。
3. 売るときの手数料
月次レポートの「お客さまが直接的に負担する費用」に書かれているのは、次の2つです。
| 購入時手数料 | ありません |
|---|---|
| 信託財産留保額(売るときに引かれるお金) | ありません |
2つのうち、売るときに関係するのは信託財産留保額で、オルカンは「ありません」です。この欄には、ほかに売るときの費用は書かれていません。ただし、これはオルカンの決まりです。ほかの投資信託では、信託財産留保額がかかるものもあります。持っているあいだの費用は、毎日の基準価額に入っています(信託報酬)。
4. 税金は「売った金額」ではなく「もうけ」にかかる
ふつうの口座(特定口座・一般口座)では、売って出たもうけに20.315%の税金がかかります。売った金額の全部にかかるわけではありません。NISAの口座なら、もうけに税金はかかりません(NISAは何をしてくれて、何をしてくれないのか)。
100万円で買ったものが、150万円になった場合の計算です。
| 全部(150万円)売る / 一部(30万円)売る | |
| そのうち、買ったときの金額 | 100万円 / 20万円 |
| そのうち、もうけ | 50万円 / 10万円 |
| ふつうの口座の税金(20.315%) | 101,575円 / 20,315円 |
| 税金を引いた金額 | 1,398,425円 / 279,685円 |
| NISAの口座なら | 1,500,000円 / 300,000円 |
※説明のための計算です。一部を売るときは、持っている分の「買ったときの金額」の割合(100万円÷150万円)を、売る金額に当てはめました。何回かに分けて買ったときは、買った値段をならした個別元本をもとに計算します。「源泉徴収あり」なら、この税金は売るときに引かれます。ほかのふつうの口座で申告がいるときは、自分で納めます。税金の額は、同じ年のほかの損益などによって変わります。
「特定口座(源泉徴収あり)」なら、売るたびに販売会社が税金を引いて納めます。ほかの口座の種類は、買うまでに何があるかの1章にまとめています。
売って損が出たときは、その取引に税金はかかりません。ふつうの口座なら、その損を、同じ年の上場株や投資信託などのもうけと差し引けます。別の口座のもうけと差し引くときや、次の年から3年間持ち越すときは、確定申告が必要です。持ち越すあいだは、毎年続けて申告します。NISAの口座の損には、どちらも使えません。
5. 「売るときの為替」は、どこに入っているのか
オルカンの中身は、多くが外国の株です。でも、売る人が自分でドルを円に替える手続きはありません。基準価額そのものが、為替の動きを入れた円の値段だからです(円高・円安)。為替は、売る値段の中にすでに入っています。
基準価額が5営業日のあいだに大きく動いたときを数えると、ドル円が同じ向きに動いていた回が多くありました。
| 5営業日で3%以上下がった143回 | ドル円も下がった(円高)のは110回 |
|---|---|
| 5営業日で3%以上上がった212回 | ドル円も上がった(円安)のは173回 |
| たとえば 2024年7月30日→8月6日 | 基準価額 25,342円→22,688円(-10.47%) ドル円 154.14円→145.58円(-5.55%) |
※ドル円は、基準価額の日の前の取引日の終値で並べました。実際の基準価額の計算に使われるレートとは少しちがいます。同じ向きに動いた回が多いからといって、為替が原因だとは言い切れません。世界の株も一緒に動いています(説明しきれなかった分)。
6. 売る日がずれたら、値段はどれだけ変わってきたか
同じ基準価額の記録(2018年10月31日〜2026年10月30日)で、ある営業日と、2・5・20営業日あとの値段をくらべました。始める日を1営業日ずつずらして数えたので、くらべた期間は重なっています。動きの大きさは、上げ下げの向きを気にしない平均です。
| 2営業日あと / 5営業日あと / 20営業日あと | |
| 動きの大きさの平均 | 1.17% / 1.94% / 3.98% |
| 100万円ぶんなら | 約12,000円 / 約19,000円 / 約40,000円 |
| くらべた回数 | 1,947回 / 1,944回 / 1,929回 |
| 上がった回 | 1,128回 / 1,197回 / 1,353回 |
| 下がった回 | 818回 / 746回 / 576回 |
| いちばん下がったとき | -12.61% / -19.38% / -33.81% |
| いちばん上がったとき | +11.00% / +13.18% / +19.95% |
※税金は入れていません。同じ値段のままだった回は表に入れていないので、上がった回と下がった回を足しても、くらべた回数にならない列があります。「いちばん下がったとき」は3つとも2020年の3月まで、「いちばん上がったとき」は3つとも2020年の3月24日からの動きです。
申し込むときに見えている基準価額は、ふつう前の営業日の分です。その日の基準価額が出るのは、夕方から夜だからです(なぜ日付が1日ずれるのか)。売る値段は、申し込んだ日の次の営業日の基準価額です。だから、休みをはさまなければ、左の列が「見えていた値段」と「売る値段」のずれに当たります。いちばん大きく下がったときは-12.61%で、100万円ぶんなら約12万6千円の差です。
上がった回のほうが多いのは、この約8年の記録の話です。オルカンの値段が上がってきた期間なので、そうなりました。「待てば上がる」という意味ではありません。同じ表の中に、20営業日で-33.81%もあります。
7. じゃあ、どう見ればいいのか
こうすべき、とは書きません。分かったことだけを並べます。
- 売る値段は、申し込んだ日の次の営業日の基準価額で決まる。申し込んだときには、まだ決まっていない
- お金が受け取れるのは、原則6営業日目から。売れない日もある
- オルカンでは、売るときに引かれる手数料の欄は「ありません」
- 税金はもうけにかかる。ふつうの口座で20.315%、NISAの口座ではかからない
- 為替は基準価額の中に入っている。自分で替える手続きはない
- 売る日が5営業日ずれると、この記録の平均で1.94%、値段が動いていた
- 積立をやめることと売ることは、別の手続き
いつ売るかは、そのお金をいつ使うのかによって、人それぞれです。次の日に上がるか下がるかは、だれにも分かりません。過去に持ち続けた場合の記録は、何年持ったら、どうだったかにあります。
8. まとめ
オルカンを売ることは、「値段が決まる前に申し込み、値段が決まり、そのあとでお金を受け取る」という順番です。費用の欄は「ありません」で、税金は売った金額ではなくもうけにかかり、為替は基準価額に入っています。残るのは、申し込んでから値段が決まるまでの1営業日と、売る日を選ぶあいだに動く値段です。
数字の出どころ:換金の決まり(単位・値段・締切・代金・申込不可日)と費用は、三菱UFJアセットマネジメントの月次レポート(作成基準日 2026年9月30日)の「お申込みメモ」「ファンドの費用」です。税金は国税庁のタックスアンサー(No.1463・No.1474・No.1476。令和8年4月1日現在)、個別元本は楽天証券の案内です。積立をやめる手続きは、楽天証券と三井住友銀行の案内です。ほかの販売会社は、それぞれの案内で確かめてください。基準価額は投資信託協会、ドル円はYahoo Financeで、回数と%はこのサイトが計算した値です。
ほかの「基本のき」
- 投資とは何か ―― 同じ1万円を、預金とオルカンで約8年読む →
- 毎日見ている「株式会社」――その株式って、なに?読む →
- 投資信託とは何か ―― 1万円でオルカンを買うと、何を持つことになるのか読む →
- オルカンとは何か ―― 名前、運用会社、めざすもの、中の3つの親ファンド読む →
- オルカンとS&P500は何がちがうのか ―― 中身・費用・約8年の値動きを並べた読む →
- 名前の似た「全世界株式」は何がちがうのか ―― 4本の費用と約3年の結果を並べた読む →
- 買うまでに何があるか ―― 口座、申し込み、値段が決まる日、お金が届く日読む →
- 基準価額って、そもそも何の値段なのか読む →
- オルカンの中身は、実際に何が入っているのか読む →
- 業種で見るオルカン ―― 半導体が1割下がった週、オルカンは読む →
- 指数とは何か ―― オルカンが合わせている「ものさし」読む →
- ETFと投資信託 ―― どこが同じで、どこが違うのか読む →
- リスクとリターン ―― 投資の「リスク」は、損をする危険のことではない読む →
- 分散とは何か ―― 1社だけ持っていたら、ぶれはどうだったか読む →
- 過去、どれくらい下がったことがあるのか読む →
- 何年持ったら、どうだったか ―― 買った日を1日ずつずらして数えた、オルカンの約8年読む →
- 信託報酬 ―― 請求書が来ないのに、毎日引かれているお金読む →
- 手数料の差は、何年でどれだけになるか ―― 年1%のちがいは、約8年で2,865円読む →
- 分配金を出さない、ということ ―― 利益が利益を生むしくみ読む →
- 毎月おなじ額で買うと、本当に有利なのか読む →
- NISAは何をしてくれて、何をしてくれないのか読む →
- 純資産総額とは何か ―― 値上がりで増えた分と、新しく入ってきたお金の分読む →
- なぜ、日付が1日ずれるのか読む →
- 円高・円安は、外国の株を持つ人に何をするのか読む →
- 為替ヘッジとは何か ―― オルカンは「ヘッジなし」。約8年で、為替はどれだけ効いたか読む →
- 「説明しきれなかった分」とは何か ―― 合わない分を、消さずに出している理由読む →
- 休みの日、オルカンはどうなるのか ―― 値段が出ない日、売り買いできない日読む →
- 下げは「円」で見るか「%」で見るか ―― -874円は設定来6番目、でも%では58番目読む →
- 金利が動くと、なぜお金の値打ちが変わるのか読む →
- 金利が上がったのに、なぜ円が安くなったのか読む →
- アメリカの10年金利とオルカン ―― 金利が上がる日、円で持つと何が起きてきたか読む →
- 恐怖指数(VIX)とは何か ―― こわさではなく「揺れの大きさ」の数字読む →
- 日経平均とオルカン ―― 日本の株価のニュースは、どれだけ効くのか読む →
- 原油とオルカン ―― 原油が上がる日、オルカンはどっちに動いてきたか読む →